きむかずさんのレビュー一覧

こんなに簡潔に説明ができるのか！と目から鱗の「IT革命」解説本

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　沖縄サミットの唯一にして最大の成果は、とにもかくにも「IT（情報技術）」という言葉が市民権を得たことではないか、と評者は考える。ここ数年「ソリューション」という言葉も、なんとなくではあるが理解されてきていると思われる。

　一方で、CRM（カスタマー・リレーションシップ・マネジメント）やERP（エンタープライズ・リソース・プランニング）、DWH（データウェアハウス）についてはどうだろうか。すでにこれらについての書物は多数あるが、用語の説明にはなっていても、それがなぜ経営革新や「IT革命」につながるのか、一般ビジネスマンが十分な理解が得られるものは多くはないであろう。

　なぜならそれらの多くは、旧来の企業経営に対してこれらの技術が、業務の効率化や情報の活用という視点で、どのように有効かという「現世利益」が頭にあるからである。

　本書は「ITソリューション」という漠とした分野を、BtoB、BtoCという基本的なところからDWHやOLAPといったすでにブームが一段落した技術、あるいは比較的新しいワン・トゥ・ワン・マーケティング、eCRM、そしてメタERPまで、幅広く解説している。
　著者がこれらの技術に詳しいことは驚くに当たらないが、ITソリューションを「ITを活用した企業内のみならず、対顧客においての問題点の解決までを扱うもの」という本質的な理解をされているため、簡潔かつ判りやすい本に仕上がっているのだろう。

　たとえ知っている内容であっても頭の整理ができ、他の人に説明するのに重宝する。読むうちに「やっぱりIT革命はすごい」と思えてくる。ぜひ一読をお薦めしたい。