風林火山さんのレビュー一覧

さまざまな小説家の文章の見本市

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　あくまでもこれは「ブックガイド」であって、作家になるためのテクニックを解説してくれているわけではない。したがって、これを読んでもたいして作家には近づけない。

　内容はまず、５０人にのぼる作家の特徴的な描写部分をテーマ別に抜き出して、二人の著者が分担して解説するといった具合。次に、二人の著者による対談（雑談）でお茶を濁し、最後に、恣意的な選出による＜必読小説５０＞を掲げて締めている。

　ということで、作家になりたい人にはこの本は薦められないが、さまざまな小説家の文章の見本市をのぞきたい人には、多少は薦められる。

　私が思うに、作家になるために、他人の文章を薄く広く読む必要はないだろう。個人的に強烈に魅かれてしまう文章を昧読しながら、自分自身の問題と向き合い、自分にしか見えない世界を言葉に置き換える行為を模索することである。もちろん、知的流行や文壇の裏話に精通する必要がないことは言うまでもない。