masaeさんのレビュー一覧
投稿者:masae
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紙の本その鎖で狂わせて
2003/06/24 17:12
脱力…すごく高い買い物しちゃった…
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オヴィスさんの傾向が「軽く・明るく」なのはわかるが、質までこんなに軽くしちゃってイイんだろうか?
受けのキャラは「頭が切れていつでも冷静な判断ができるかなりの美人」という設定だが、どう読んでも呆れるほど間抜けで状況判断能力ゼロの御仁だ。
軟禁されレイプされようというのに、「どういうことですか」とか「何を企んでいるのですか」などと敵対する相手にしつこく質問を繰り返し、笑えることに相手もご丁寧に教えてくれる。
その上「失礼させてもらいます」と手下達がガードしているドアから出ようとし、「簡単に捕まるつもりはなかった」けど簡単に羽交い絞めにされている。逃げるには何らかの策が必要だと小学生でも分かるだろうに。
一事が万事この調子で、読んでいて読者を嘗めてるのか腹が立つ。説明過多で「行間を読ませる」とか「におわせる」などの芸もない。
終いにはこちらが恥ずかしくなってきた。
そのピークがあとがきだった。
作者はしっとりと隠微な雰囲気に挑戦され、テーマは「狂気の愛」だそうである。辞書を三つ(!三冊?)かかえ四苦八苦されたそうで、ご自分でも語学力がないと認めるようなことをおっしゃっている。いや、文章力も危ないと思いますよ。まだプロデビューはちょっと早かったのでは?
ただ、攻めキャラに魅力の片鱗を感じる。
作文テクは磨けば伸びるものなので、今後の精進に期待したい。
紙の本スロウライフ
2003/07/01 09:38
鴇ちゃんとたのしい仲間たち(?)
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区役所勤めの五十鈴は、判で押したような毎日を送る生真面目な堅物。建築家で弟の嘉津と、映画監督で恋人の鴇と暮らしている。鴇は「五十鈴大好き」と「気の向くまま」しか頭にないような社会不適合者で、五十鈴はしょっちゅうキレては「別れる!」と叫んでいる。でも、鴇の映画がカンヌ映画祭の候補作になって…
谷崎泉氏の作品は、いつも登場人物に血が通っている。だからか、どんなに鬼畜な設定の小説でも、どこかほんのり温かい。
この二人の主人公はどちらもかなり極端な性格だが、五十鈴の意固地さはいとおしいし、鴇の五十鈴一筋はいじらしい。
そして、いつも二人に振り回されてしまう嘉津やプロデューサーの遊佐など脇役も、しっかり存在感がある。
著者の代表作「君が好きなのさ」が気に入っているなら大丈夫!
あのふんわり優しい雰囲気は、この作品にもちゃんと漂っています。
さあ、「鴇ちゃんとたのしい仲間たち」をお楽しみください。
2001/06/19 09:10
レイニー・シーズン
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シリーズ2作目。『嫉妬』をテーマにしたよくある話なのに、引き込まれて一気に読んでしまったのは、的確な心理描写と個性的なキャラクターが生きているから。
主人公たちの切なさや動揺にシンクロし、恋愛経験者なら誰もが味わったことのある苦味に「そうよ。そうなのよぅ。」と心の中で叫んでしまう。
著者の確かな文章力に操られ、思うツボにはめられる快感。1作目の『ソリッド・ラブ』から読めば、快感倍増!
紙の本上海金魚
2003/06/24 18:20
上海に旅するなら、これは食べたい!って本じゃないんだけど
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題名と裏表紙の説明文から「ああ、オリエンタルムードで誤魔化したあの手のモノね」と勝手に思い込み、しばらく本箱に放り込んでしまった。
読んでビックリ!
思わず「ごめんなさい」と、誰にともなく頭を下げてしまった。
淡々と綴られる文章も、花本安嗣氏のイラストも、どこかノスタルジックな空気を漂わせ、昔の質の良い恋愛映画を見終わった時のような満足感を与えてくれた。
最初、攻の滝乃視点だったのが途中で受の水端視点に変わり、その後もかなり視点変更するのだが、作者の力量かスムーズで違和感がない。
逆に視点が変わることで、二人の主人公の状況や思惑なども説明っぽくならずに読み取りやすい。思わず「うまいなあ」と唸ってしまう。
文の中に描かれる上海の風景は、白いベール越しに眺めているかのように、あるいは水墨画のようにやわらかく、その中で藍色の金魚・赤い提灯・ロイヤルブルーのインコ・白いチャイナカラーのシルクシャツ・翡翠色のえんどう豆・強かに生きる人々、そして二人の恋などの点景が鮮やかに煌めく。
読み終わった後、きっとあなたも「タピオカと蜂蜜ゼリー入りフラッペ」が食べたくなるでしょう。
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