hokuraさんのレビュー一覧
投稿者:hokura
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紙の本ヴァインランド
2002/03/31 03:58
60年代へのオマージュに満ちた、ピンチョン渾身の長編
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『重力の虹』以来、17年ぶりの長編は、60年代へのオマージュに満ちた優しく切ないストーリーだ。政府の陰謀によって消息を絶った母を持つ娘の母親探しの物語を核に、政治とポップカルチャーの60年代文化が、80年代、レーガン政権下のアメリカの状況と複雑に交錯する。日本で修行した「くのいち」や恐るべき権力を持つ影の政府役人、TV中毒の麻薬捜査官など、相変わらずぶっとんだキャラクターがドタバタを繰り広げながら壮大なラストへと結実していく筋立ては見事。珍しく希望を感じさせる結末はなかなかに感動的だ。詳細な訳者註も便利。
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