Yabukenさんのレビュー一覧
投稿者:Yabuken
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紙の本夜のフロスト
2001/07/06 01:19
フロストみたび現る!
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イギリスの片田舎デントンにおいて風邪が猛威をふるい、デントン警察署も人手が不足している。そんな中、仲むつまじい夫婦に脅迫状が、新聞配達中に行方不明となった女の子が、夜の墓場を荒らす不届きものが、連続老人切り裂き犯が、下品なジョークと不屈の仕事魂を兼ねそろえるデントン警察きっての名物警部ジャック・フロストに襲いかかかる!
いやあフロスト警部シリーズ待望の第三弾!2001年まだ半ばながらにして僕の今年ナンバー1ミステリーに押しちゃいましょう。相変わらずのフロストの下品ぶりは目を見張ります。しかしただ単純に下品なジョークを言っているわけじゃあない。それはギルモア部長刑事から下卑たジョークをとがめられたときにでたフロストの「この仕事をしてると、胸くその悪くなるようなことを、それこそ山のように目にするんだよ〜中略〜だから、俺は冗談を言う。冗談を言ってりゃ因果な仕事の因果な部分を引き受けるのが、いくらか楽になる。ただ気に障ったなら謝るよ」という部分に表れている。今回もストーリーはいくつもの事件が同時進行し、フロストを、時には読者までも惑わすが最期にはちゃんと帳尻があっている。罪を償うべきものが最期には罪を償っているというところが醍醐味。このシリーズは最期の100ページぐらいから一気にストーリーが加速していく。その際に物語前半部分の伏線が憎らしいぐらい活きてくる。ただやっぱりちょっと事件がごちゃごちゃしすぎて現状を把握しにくいかなあって気もしないでもない。ただこのゴチャゴチャ感がフロスト警部シリーズのたまらない魅力なのだろう。
未読の方は前2作「クリスマスのフロスト」「フロスト日和」とともに一読をお勧めします。(ちなみシリーズのなかで一番はやっぱり「クリスマスのフロスト」かな)
紙の本Finale Dragan Stojkovic ドラガン・ストイコビッチ完全読本
2001/07/08 13:30
ピクシーの全てがここにある
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1990年イタリアワールドカップで「ヨーロッパの10番」とよばれた男「ピクシー」ことドラガン・ストイコヴィッチ。今年で引退を表明しているピクシーに関して様々なライターによって書かれた文章、写真、漫画によって構成されているまさしく「完全読本」。
内容はピクシーのプロデビュー当時のエピソードから、EURO92予選において始まる国連の突然のスポーツ制裁による長いユーゴサッカー暗黒時代の到来、さらにはJリーグ・日本に対するピクシーの思い、またピクシーにまつわる人々のコメント等等、かなりの量である。ただ一番多くとりあげられているなのがやはり「内戦問題」であろう。旧ユーゴ内戦による様々な影響。それはピクシーに祖国が空爆されるという精神的な苦痛を与え、またそれ以外にも国際試合の禁止というサッカー選手としてこれ以上ないまでの屈辱を味あわせることになる。しかしピクシー本人のこの事件に対する感情的な意見はあまり記されていない。彼にとってはこの事件は触れたくないものなのだろう。ただ「生まれるのが10年早いか遅いかすればよかったと思うことはありませんか?(内戦の時期が選手としての絶頂期にあたったことをアンラッキーだと思うか、という意味)」という質問にたいして「This is life(それが人生だ)」と潔くいえる彼はサッカーだけではなく人格的にも「天才」なのかも知れない。この本はピクシーのファンはもちろん、そうでない人にもなるべく読んでほしいと思う。
Jリーグに参戦した当初はイエローカードの常習犯で、そのうち審判に逆にイエローカードを出すという「腕白ぶり」には誰もが辟易したが、それを補って余りある「神技」を日本において披露してくれたピクシーに感謝!
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