アルガノンさんのレビュー一覧
投稿者:アルガノン
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紙の本ワタシハココニイル
2001/07/20 01:51
装丁の傷口
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あるテレビドラマの「砂田まりあ」という役名にピンときた方は、以下に本書から抜粋した真中瞳の気持ちが理解できるのかもしれない。
《私は何か嫌なことがあるたびに砂田まりあと自分を重ねていた。以前から、彼女と同様に死ぬことは怖くなかった。中学生の頃から、死んだら楽になれる、辛いことや嫌なことを感じずにすむ。自殺をしようとは思わないけれど、今、突然死ぬことになっても後悔はない、とそう思っていた。
私の中にはこうした破滅願望が常にある。》(P30より)
著者が、中学生のころに何かから逃れるように「女優になりたい」と強く願うようになった動機を述べたくだりだ。
『ニュースステーション』で久米宏氏と明るく珍妙なやりとりを交わす彼女しか知らなければ、この二つの人物像を重ねることは難しいだろう。彼女はなぜそこまで思い詰めていたのか? なぜ変わったのか? いや、本当に変わったのか?
読了後も『ニュースステーション』での真中瞳を観るたびに、妙な感慨に浸ってしまう。この本の装丁の朱が、自らの傷口をさらけ出した彼女の血の色に見えるのは私だけか?
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