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RubyRingさんのレビュー一覧

投稿者:RubyRing

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本リゾートタウンの殺人

2002/03/19 16:28

ニューヨーカーのカウンセリング症候群

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 翻訳物ミステリーの何が楽しいかというと、とにかくその国(地方)の生活をまるで体験するかのごとく感じ取れる楽しさですね。 加えて、このシリーズで思うのはつくづくアメリカ人(というか、ニューヨーカー)の心の構造と日本人(というか、私)の心の構造が違うのだなと…。
 時々耳にする、アメリカ人と日本人の友情の捉え方の違いを説明するときのたとえ話。「『悩みがあるの』と日本人の友人に相談すると、本人が相談にのる。アメリカ人の友人に相談すると、良いカウンセラーの電話番号を教えてくれる」 。ちょっと聞くと、日本人としては 「アメリカ人て冷たいのお…。」と思うけれど、これは多分単なる責任と、その分担に関する考え方の違いらしい。
 日本人は頼られたら本人が問題にあたるのを責任とし、アメリカ人はその問題を適切に解決できる手段を講じるのを責任とする。そして、その手段を得られるだけ職業の専門化が進んでいます。日本人は解決したかどうかはそれほど問題にせず、アメリカ人は解決を最優先とする。

 この物語のカップル、ローレンとキップも、二人の関係が危機に及んだときに出てくるのは、いつも親身になってくれる親友カップルの名前ではなく、 「カップルカウンセリングを受けましょう」だったりする。彼女らが親友を信頼してないわけではなく、彼女らの抱える問題にあったprofessionを選ぶことが出来るのは、ある意味アメリカ人の裕福さを表すステイタスなのかもしれません。

 そんなニューヨーカーである彼女らが直面する様々な変化。それらをどう乗り越えていくのか…。事件解決の醍醐味もさることながら、本来のこの書の楽しみはそういった人間心理のミステリーにあるように思えるのです。

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マイノリティであることの「重さ」と「軽さ」

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この本を読んだ時に、どうしても私の中ににじんでしまった思い。
 「なんだ……やっぱり普通の人たちではないじゃない…」
 そういう失望感はどういう部分から出るかというと、このライターが接している「レズビアン」「バイセクシュアル」の女性たちは、みなこれまでもたれていたイメージから派生する職業を逸脱していないことが理由の一つです。

 そのイメージとは、風俗であったり定職を持たないフリーターであったり、ギリギリの生活を送るその日暮らしであったり…。その職業をどうのというわけではなく、彼の視点が問題なのです。
 どこか無意識に、読者の頭の中に、セクシュアルマイノリティであることと生活の不安定さを結びつけさせておいてから、「それでも明るく奔放に生きる人々」というマスコミの好きな図を描き出している…。つまり、常識を逸脱した人を檻の中からながめて自分を慰めるマスな人々の視点とどの程度の差があるのだろうかという疑問が湧いてしまうのです…。

 ただ、中川氏の写真は本当に掛け値なしに綺麗です。女性ヌードとしてもとても柔らかい光を使っていて紙質も良くあってる。一つの救いは写真家の彼がその後もビアンコミュニティとの交流があるらしいこと。時々名前をみかけます。そして北尾氏自身の偏見を乗り越えようとするルポの試みも、素直な彼の感性によって下世話な興味を退けることに成功しています。もう一歩、もう一歩踏み込んで、彼の中のパラドックスを開ける鍵が欲しかったです…。

 セクシュアルマイノリティであることは、単なる事実にすぎません。それだけで特別なことではなく、不安定な要素にもなりえないんです…。

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いつでも残るのは、思いだけ。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私が過去に見た芝居の中でかなり印象に残っている芝居に、劇団四季の「李香蘭」がある。これは日中友好の証として中国人の夫婦の養女に出された日本人の少女が、満州で人気歌手となり、やがて始まる戦争の陰謀に巻き込まれる悲劇を描いた芝居である。
 再演を見るたびにボロボロに泣かされる芝居ではあるが、それ以上に、一人一人の人間劇、友情の在り方にたまらない気持ちにさせられる。
 「国って、政府って一体なんだろう?」
 そんな疑念が頭をもたげる。

 この作品「南京路に花吹雪」は、第二次大戦中の上海を舞台に、日本の国策にはまることが出来ず上海へ左遷された日本人新聞記者本郷が、中国人との交流のうちに日本軍の謀略に気付き、その偽善をあばく立場となっていく姿を描いている。
 この作品の中で焦点となるのが、「李香蘭」と同じ、「友情・友愛」である。それは個人と個人の間に結ばれる、最も基本的な信頼関係。そして、それ故に主人公本郷は組織そのものの狂いに気づき、人間の愛情の在り方から国の在り方を探っていく。

 決して「始めに国ありき」ではない。

 本郷の黄子満(ワン・ツーマン)との友情(と言えるかどうか分からない複雑な思いだけれど)が、彼の目を開いていく。一対一の関係がすべてを切り開く鍵となる。

 そうして育まれた関係は、やがて巨大な国策に飲み込まれ、ゆがめられていく…。黄子満は消える。本郷からも、誰の目からも、永遠に。永遠に消えた彼を捜す人は、現代にいるだろうか…?

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男たちへの復讐の女神

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 この漫画が連載された1980年初頭は、「強い女性たち」が社会に進出しはじめ、世の中で叩かれ始めた時期でした。学生を主人公にした漫画らしく、当時の風俗の流行りすたりがすぐに解るような会話が同世代のノスタルジーをかき立てます。かき立てますが、決して古くはない。それは、小夜子という哀しいキャラクターがどの時代にも存在するネメシスの象徴として描かれているからではないでしょうか。

 誰にとっても不思議と興味の対象となる「転校生」。転校生がその人気を保つには、「謎」が解かれたあとも持続するなんらかの魅力がなければなりません。小夜子の場合、その魅力はもちろん容姿とどこか儚げな風情で十分であったともいえますが、なにより大きかったのは、「決して解けない謎」を秘めつづけたことでしょう。その謎にネメシスとしての資質が潜んでいます。

 全ての例外を許さない強い性格。一見そうとは見えない小夜子にはそれが備わっています。そして、実行力もまた…。小夜子の愛した男「涼」も彼女にとって例外ではありません。
 最後の最後まで、復讐の女神でありつづけた小夜子。全ての男を憎み続けた彼女の情念は、どこに行き着くのか。

 女達は今も、復讐を続けています。その手をゆるめることなく、裾野を拡げていくのです。まるで何かに追われているかのように…。

 自らがネメシスに追いつかれることのないように…。

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