リンゴ・ラブさんのレビュー一覧
投稿者:リンゴ・ラブ
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紙の本ハーフラバーズ
2003/04/24 16:53
性同一性について
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先日「重力」という文芸雑誌の02号に載っていた、ミッシェル・フーコー編『エルキュリーヌ・バルバン、通称アレクシナ・B』(大杉重男訳)を読んだ。これは実在したエルキュリーヌ・バルバンという両性具有者の手記を、フーコーが編集したものである。
このバルバンの手記にしても「ハーフラバーズ」にしても、性の同一性が定まらない人々の手記というのは、あまりにも恋愛に関わる部分ばかりが書き並べてあるために、違和感を覚えてしまう。
「ハーフラバーズ」は藤沢さとみさんが男性から女性への変化を遂げることに終始しているが、私の希望としては女性になった後のさとみさんが社会でどう生きてきたのか、の方に興味がある。例えば30も半ばを過ぎた女性が確かな職もなしに一人で生きていくこと自体が大きな苦難をはらんでおり、それを女性になったばかりのさとみさんがどのように乗り越えてきたのか、知りたい。
確かに「ハーフラバーズ」は性同一性障害の人にしか語ることのできない豊かな描写や記述に溢れているため、多くの人々が興味を引きつけられたまま読了することができるだろう。しかし読了後には、どこか物足りなさを感じてしまう。
読者としては、この物足りなさを埋めるべく、次作に期待したい。
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