Marieさんのレビュー一覧
投稿者:Marie
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紙の本椿姫 改版
2002/07/30 00:35
只の悲劇的なラヴストーリー、もしくは説教物語かもしれない。
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それでも読んでゆくうちにマルグリットの変貌振りに惹かれてしまう。1800年代後半のフランスの、高級娼婦マルグリットと青年貴族アルマンの『ありふれた』悲しい恋物語。そして物語中に繰り返される作者の説教。普通ならうんざりしてしまうかも知れない物語を、美しく、徐々にけなげに、そして身体・精神共に弱々しくなりつつも男を愛し続けるマルグリットが、物語を優雅に進めてゆく。
今まで散々男に貢がせ、優雅な暮らしをしていた結核持ちの高級娼婦。
そんな二十歳程の娘が、自分の死期を知りつつも、本当に愛した恋人との、のどかな生活に憧れる—相手に負担をかけまいと、自分の貴金属や高価な家具を売り全ての計画を実行しようとする—『貴方は只、あたしが貴方を愛しているように、あたしを愛していてくださればいいの。』こんな台詞を吐けるほど、娼婦は段々と処女のようになってゆく。
…女として死ぬのなら、このような幸せで不幸な死に方があるのかもしれない。
オペラとは違う結末を文庫でどうぞ。
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