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中村びわ(JPIC読書アドバイザー)さんのレビュー一覧

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー)

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本魔法使いハウルと火の悪魔

2002/01/30 18:09

スタジオジブリでアニメ化決定!18歳の娘が魔女の呪いで90歳の老婆に変身させられるという内容のポップなハイファンタジーなのだ。

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 『指輪物語』で知られるファンタジーの帝王トールキンに師事したベテラン女性作家が作ったお話だけれど、ノリがとってもポップ。ハリウッド映画式のジェットコースター的展開なものだから、(えっ、1934年生まれのばあさんが?)と正直驚いた。もっとも英国での出版年は1986年、作者がまだ、おばさん(失礼)だった頃に書かれたものだ。 

 次から次への畳み込まれるような楽しい進行とともに、視覚的な文章表現も特徴のひとつ。魔法や昔話が生き残っているインガリーという国の立地や街並み、ヒロインのソフィーが老婆に変身させられる前に働いていた店の帽子のカラフルさ、掃除奉公で仕えることになる魔法使いハウルの衣装のきらびやかさ、<空中に浮かぶ城>とはいえ実は普通の民家にちょっと手を加えただけというたたずまい、その城の暖炉に閉じこめられているカルシファーという魅力的な火の悪魔の動き、おそろしい荒地の魔女の誤解から変身の呪いをかけられたソフィーが<老い>を実感するシーンなど、挙げていると切りがないのだけれど、目の前にぱあーっと光景が開けてくる描写でいっぱいだ。
 
 ヴィジュアル的にも性格づけとしてもユニークな作中人物や、空中の城、一歩で7リーグという距離を進むことができる魔法の靴などの飛翔感は、ジブリでアニメ化ということが「なぁるほど」とうなずける要素だと思う。本当は、アニメを見てから原作を…とも思ったのだけれど、ベストセラーの映画化『魔女の宅急便』の例のように、原作・映画それぞれに魅力的という事実もあったので、ええいっと読んでしまうことにした。

 含みある台詞が散りばめられたりしているけれど、メッセージ性は薄い読み物なのである。「口の減らないばばあ」とばかりにソフィーをうとんじる女たらしのハウルと、「いけすかない高慢な男」と口やかましく説教を試みる老婆ソフィーが、実は恋の駆け引きにハマっていくという設定がしゃれている。アニメでは、恋がどう処理されるのかも楽しみだ。

 物語は、この恋のさやあてとともに、インガリー国にとって最大の脅威である荒地の魔女をどう攻略するかということが柱となっている。インガリー王の弟と王室づき魔法使いが誘拐されて行方知れず。魔法使いハウルは、インガリー王に彼らの救出を依頼されているのだけれど面倒はいやだと逃げ続けて、美しい娘たちとのラブ・アフェアにうつつを抜かしている。ソフィーとしては、それがまた気に入らない。

 それにしても魔法もの本が売れているようである。この本を星4つにしたのは、魔法ファンタジーの最高峰は『ゲド戦記』だという強い思いがあるためなので…、念のため。

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