むげんどうじさんのレビュー一覧
投稿者:むげんどうじ
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2002/02/03 12:32
ユニークな読める数学書
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数学基礎論のしかも選択公理を中心とした話題についてだけ記述した書物ながら、門外漢が読みこなすことが出来る稀有の存在である。選択公理が数学界に与えた波紋の大きさを歴史的挿話も入れて興味深く解説している。日本には集合論を専門とする数学者が極めて少ないらしいが、著者には更に頑張ってもらいたいものだ。紙数の都合か最近の話題の記述が駆け足になっているのが残念である。1970年代以降の成果を詳しく紹介するような改訂第三版が待ち望まれる。ソロベイの証明、到達不能基数、決定性公理にもとづく測度論の展開、バナッハ・タルスキの定理の波紋など。また、『数学』誌の著者論文を噛み砕いて編入すればより完璧な本になると思われる。志賀浩二『無限からの光芒』と並び、この分野の「読める本格的解説書」として正に名著である。
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