電気さんのレビュー一覧
投稿者:電気
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紙の本日本型コーポレートガバナンス 従業員主権企業の論理と改革
2002/02/18 10:34
日本型言い訳探し
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株主主権と従業員主権の選択・非選択を切り口に、日本企業のガバナンスへの提言を試みている。結果は無残と言うしかない。株主に期待されたリターンを獲得することのできない無能な企業経営者に、「人本主義」という言い訳を与えたに留まっている。「あるレベル以上の管理職と長期勤続従業員」を「コア従業員」として企業の主権者と位置づけることが著者の提言の要であるが、これは日本企業が現在のように疲弊することになった根本原因を追認することに他ならない。一つの会社に長く勤め管理職となり、そのヒエラルキーを上っていく最終ゴールとしての経営者たち。彼らこそが、多くの不祥事を起こし、企業収益のパフォーマンス悪化を招き、日本経済の効率悪化の遠因となった。それは、株式の持ち合い等による実質的な株主不在によって生じた「ガバナンス不在」が彼らにそれを許したのである。その状態の改善のために「コア従業員」にガバナンスを委ねるのは、ボス猿の監視を子猿に任すようなものである。雪印の不祥事を主導したのは長期勤続従業員ではなかったか。バブル期の投資で収益悪化を加速させたのは中間管理職ではなかったか。どのようにして経営者が自分への言い訳をしようとしているのかを知る為には、一読の価値があろう。「銀行借り入れ中心の間接金融の流れは今後も変化しない」との認識や、ストックオプションの役割認識は単純な誤謬なので、次の版では修正が必要だろう。
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