ナリティさんのレビュー一覧
投稿者:ナリティ
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紙の本幽霊たち
2002/03/21 00:00
たちの悪い幽霊
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タイトルからして、なにか変じゃありませんか?
幽霊たちって、わざわざたちをつける必要がある
のかなあ。ねこたちって日本語にしたら、英語のテスト
だったらたぶん三角ですよね?
なんて、表紙を見るだけでいろいろと考えてしまっているけど、何を隠そうこの本は、主人公があれやこれやと想像を巡らせつづける、はっきりいってしまえばただそれだけの話なのです!それのどこがおもしろいかって?おもしろいんですよ、まるで人の頭の中をのぞいているような感じです。
私立探偵のブルーは、依頼人ホワイトから、ブラックという男を見張るように依頼されます。しかし、いくら見張れど何も起こらない。ブルーがブラックに、ホワイトに対してめぐらす推測、ふくらんでいく空想。そういった細部にすごくリアリティがあって、あっという間に読み進めます。事件は起こらないんですけど。そして、衝撃的というか拍子抜けのラスト。とぼけた味わいとはぐらかされた肩透かし感。
本当にたちの悪い幽霊です!
紙の本夜の樹
2002/03/20 23:23
映画と『夜の樹』
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リュックベッソン監督の映画『レオン』を見たことがある人は多いだろう。ジャン・レノ扮するレオンは、美しくもどこか危うい少女、マチルダと行動をともにし、彼女のために命を失ってしまう。映画の中で、彼ら2人が立ち寄る喫茶店がある。その名を「ミリアム」という。
カポーティ珠玉の短編集『夜の樹』で最初に収められているのが「ミリアム」である。夫に先立たれた老婦人の前に現れる、美しく、現世離れした少女ミリアム。ミリアムによって、寄りべのない老婦人はじわじわと追い詰められていく。その孤独、焦りをヴィヴィッドにカポーティは描き出す。
『夜の樹』はどの作品を読んでも、まるで映画を見たかのように、映像をまぶたの裏に焼き付けてくれる、稀有な短編集だ。『レオン』に「ミリアム」が使われたのも、あながち偶然ではないだろう。
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