ピロシキさんのレビュー一覧
投稿者:ピロシキ
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紙の本戦争遺産探訪 日本編
2007/08/09 08:09
渾身の新書が出た。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
すでに戦争から60余年も経過し、当時のことを知る当事者はほとんど姿を消した。しかし今も全国には戦争の遺構が、廃墟となっていたり、現役の建物として残っていたりする。本書は、そうした知られざる現実を、工夫した見せ方で紹介している。いやはや、意外な場所に戦争の痕跡が残っていることを知って驚いた。
新聞広告によれば、著者は「旅」という旅行雑誌の副編集長を務めた人だそうだ。それだけに、読者を飽きさせないツボを心得た文章が快い。本書には写真と地図が多数掲載されているので、読んだだけで実際に現地に行った気にもなれる(でも行ってみたい気持ちがうずく)。
紙の本軍事遺産を歩く
2006/08/17 15:18
初めて見る大日本帝国のカタチ
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
人里離れた海岸に残されたトーチカ。緑のツタが絡まる陸軍の工場廃墟。人知れず草木に覆われた要塞、荒々しい掘り跡の残る地下壕…。カラー口絵の写真のすばらしさに惹かれて、いつしかページを繰っていた。それにしても日本にこんな風景があったとは……観光写真では絶対に出てこない場所ばかりだが、その無垢な美しさよ! 最初に写真の迫力で見始めたのだが、文章で紹介されるエピソードも実に興味深くて。最後まで一気読みしてしまった。戦争のことは少しは知っていたつもりだったが、取り上げられているエピソードは、初めてきくものばかりなのだ。ほんの一例を挙げれば、廃棄された要塞が陸海軍初の爆撃演習に使われたこと、豊川海軍工廠空襲に徳川夢声が遭遇していたこと、舞鶴の町に非常用の滑走路として使える道路があったことなど。ちなみに本書では全国各地20箇所の軍事遺産を紹介している。文庫の小さな判型に、見ごたえある写真と文章。表紙を飾る戦艦陸奥の主砲ではないが、これは久しぶりに登場した超弩級の本である。続編を期待したい。
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