やまたさんのレビュー一覧
投稿者:やまた
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紙の本和泉式部集 影印版 正集
2002/07/12 23:58
つれづれと
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和泉式部は平安時代を代表する歌人、いや日本を代表する歌人である。この中には、萩原朔太郎が「千古の名吟」とたたえ、にもかかわらずいずれの勅撰和歌集にもとられていない歌、「つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天下りこむものならなくに」という歌をはじめ、和泉式部日記の中に描かれている恋人、敦道親王に先立たれた後に残した挽歌群や、少女時代と思われるみずみずしい作品もあり、人間の普遍的な心情を歌った「古典」としてふさわしい作品である。
和泉式部は紫式部が「私生活ではけしからん部分がある」と言い、藤原道長が「浮かれ女(め)」と評したというエピソードが先行し、多情でふしだらな女というイメージがあるようだが、この歌集を読んでいると、むしろ孤独な思いをなんとか解消しようとする切ない思いが伝わってくる。
和泉式部は実は誠実で純粋な女性だったのである。
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