大田清隆さんのレビュー一覧
投稿者:大田清隆
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紙の本ノルウェイの森 上
2002/06/07 20:46
17歳と21歳
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キズキは17歳のままだし、直子は21歳のままだ、という設定は非常に象徴的である。人生において17歳という時代や21歳という時代の出来事は、その後の生き方に決定的な影響を与えると思う。その人の人生の方向を決定づけると言ってもよい。だれでも、おそらく心の中に、17歳や21歳の自分をそのまま引きずって生きている。そのころの途方に暮れた感覚を……。
2002/06/22 21:46
フィンランド
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これは、第二次世界大戦中にあった、ソ連のフィンランド侵攻を、それを敢然と迎え撃ったフィンランド側から描いた作品である。
まず、第二次世界対戦中に、フィンランドとソ連の間に「冬戦争」とよばれる戦いがあったことを初めて知り、驚愕の思いである。超大国であるソ連の国境を接する小国への利己的な無理難題、それを拒否すると圧倒的な物量にものを言わせたカレリア地方への侵攻。そうした大国の理不尽さに国を守ろうと立ち上がったフィンランド人の心意気。そんなものを確かに感じて、一気に読み終えてしまった。
この物語は、その戦争の中で、主人公「クリス・レイヨナ」を隊長として組織された「特別遊撃隊」(架空?)の胸のすくような活躍と、隊員達の心の交流が中心に描かれている。なかでも、ロシアを破った日露戦争の乃木将軍にあやかりなづけられ、またフィンランドの国民的叙事詩「カレワラ」のヒーロー「ヨウカハイネン」と同じ姓をもつ若き「ノギ・ヨウカハイネン」の人間離れした活躍が胸を踊らせる。
読み終えて、スウェーデンとロシアという大国に挟まれ、さまざまな辛酸をなめてきたフィンランドの歴史と、現在の豊かで心暖かで住みやすいこの国の姿が二重写しになり、ますますこの国への憧れがつのり、また身近になった。
ただ、強いて言うなら、もう少し登場人物の個性をきわだたせるような描写があると、物語はもっと命を帯びてくるのではないかと思われる。
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