デカパンさんのレビュー一覧
投稿者:デカパン
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紙の本こちら、ナース休憩室。
2006/09/03 07:19
看護師さんも生身の人間なのよ,と気づかせてくれる本
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看護・医療関係の本は,ちょっと頭が痛くなるようなムズカシイものが多いですが(当たり前か),この本はリラックスして読むことができます。コレが小林光恵流。
『「片づけられない女」は太る』以来の小林光恵さんの新刊。
考えてみれば妙な話なのですが,患者は「看護師さんも生身の人間である」ということを,ほとんど意識していないのではないでしょうか? 医師についても同様ですが…。そんなことに気づかせてくれる本。「いつも元気で明るく頑張っていなくてはいけない」と思っている看護師さんには“癒しの本”になるかもしれません。例によって,さらっとココロに浸みる話が収められています。看護に関することだけでなく,一般の話題もあります。オススメです。小林光恵ファンにとっては,小林光恵さんが描かれたイラストが入っているのもうれしいです。
2002/07/01 21:57
限りなくキョウダイに近いフウフ
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小林光恵先生の新刊。意欲作。看護の世界から踏み出してエンターテイメントに挑戦されたんですね。今回は。
これ,結構怖い話でして,兄妹のように付き合う夫婦が,実態に合わせて本当に兄妹(法的な意味で)になろうとする小説です。
夫婦も長くやってると,お互いが空気のようになったり,兄妹のようだったり,私の場合は,ツマは「パンツのゴムみたいなものでいてくれないと実にコマル」なんて愛情のかけらもないようなことを言っているわけですが,子供のいないご夫婦の中には確かに兄妹みたいな関係の人は少なくないものと思われます。また私のトコのような子アリ夫婦にしてもいずれ子は離れていくわけで,親の役割をほぼ終えた後の私ら夫婦は一体どんな関係になるのか,と思うと怖くなったりします。
夫婦って何?
…とつい考えさせられてしまうところが怖いんですね。夫婦なんて大して強固な関係でもなく,内心では「結構危うい関係だよね」なんて思いつつ考えないようにしてやり過ごしてますものね。大抵は。もちろん,この小説ではそんなことが露骨に語られたりはしていないのですが。
例によって語り口が自然で,読みやすいです。この読みやすさの原因は文章のリズムがいいということなのでしょう。仲のいい友達から「あのね…」で始まる世間話を聞いているように読み進めていけます。登場人物のキャラクターが頭に浮かびやすいのも凄いテクニックだと思います。これは『ナースマン』(角川文庫)のときにも思ったことですが,性格づけがきっちりできているんですね。
セックスレス夫婦,晩婚,離婚,DV,また高齢化で親との付き合いが長くなる,相続もややこしいといったことなど現代家族の状況がさまざまに折り込まれています。こうしたナマナマしい現実(20代後半から40代後半の人には特に身近な話として読めるように思います)も含めて,話の展開が面白いことはもちろんですが,大変興味深く読ませていただきました。
おススメです。エンターテイメントとしてそのまま楽しんでも読めますし,「ちょっと待てよー」なんて,夫婦のコトを考えるきっかけとして読まれてもよいと思います。話題作になっていい作品ですが,さて,どうなることでしょう。このまますぐテレビドラマの脚本も起こせてしまう気もしますので,テレビ放映されたら社会の大きな話題に確実になると思うんですけどね。
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