ねんねじさんのレビュー一覧
投稿者:ねんねじ
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紙の本バレリーナへの道 Vol.41 特集・踊る兄弟/芸術祭優秀賞『オンディーヌ』/ローザンヌ・バレエ・セミナー
2003/02/09 12:47
そのまま突き進んで下さい。
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こういうものすごいマニアックな雑誌が出版されているとは、なんと幸福なことか。この雑誌の最大の魅力は国内の今のバレエを伝えようとしていることと、若手を大切にしているところだろう。
多分何冊かでているバレエ関係の雑誌の中でもこれはかなり深いところまで行っている雑誌だ。なんたって今回の特集は「踊る兄弟ダンサー」だ(笑)。まだ研修生の平野亮一さんの記事なんて他ではめったにお目にかかれないだろう。
雑誌が雑誌だけに記事自体は採れたてとはいかず、かなり時差を感じる。しかし、そんなことはどうでもいいと感じさせるくらい的確にバレエ好きのツボを抑えてくるところがなんとも憎い。
紙の本大人失格 子供に生まれてスミマセン
2002/08/15 16:13
摩訶不思議な人々
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今、エッセイを書いていちばん面白いのは、演劇関係者なのではないかと思う。文筆業の方だと当たり前すぎるし、お笑いの人だといろいろ語られてもかえって興ざめするところがある。
まず、お金にもならないのに演劇をやって食べていこうと思うだけで、ちょっと普通の人ではないと思う。演劇をやっている友人は、衣装やら劇場代やらでお金が飛ぶようにかかると言いつつ、毎回チケットをただでくれる。どう考えても、これで食べていけるわけがない。
それを知ってか知らずか、そんな自明の理をものともしない。そんな集団が劇団なのだろう。そんな、摩訶不思議な人が書いたものはやはりちょっと不思議に面白い。
紙の本Heaven? 4
2002/09/09 20:36
今回もオーナーの独壇場です。
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墓地の中にある仏料理店「ロワン・ディシー」を舞台に、推理小説家でもある女オーナーのわがままに振り回されながら、何とか営業をするスタッフ達。
今回も、期待通りの面白さでした。
佐々木倫子の作品は甘くない所が魅力です。めちゃくちゃおかしいけれど、奇想天外過ぎない。そのバランスが心地よい笑いを作っています。
ちょっとした気分転換におすすめです。
紙の本20世紀少年 10
2002/09/01 01:56
浦沢直樹の最新刊
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待ちに待った「20世紀少年」の新刊です。
私はケンジたちとは世代が違うので、その懐かしさを共有することは出来ません。
しかし、きっとケンジたちは、大人になりきれない大人たちの世代なのでしょう。
「こんなんじゃない、21世紀はもっともっとすごくて、自分も今とは違う何かに
成っていたはすなんだ」。きっと、こんな思いをケンジたちの世代の方々は持って
いるのではないでしょうか?
そんな思いをこの「20世紀少年」は見事に描いていると思います。そして浦沢直樹
特有のすばらしい構成力で私たちをぐいぐいその世界へと引き込んでしまうのです。
紙の本もうひとつのMONSTER
2002/08/23 10:42
もう一つの試み
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浦沢直樹という人は本当にすごい人だ。その構成力にはもうただただ感心するしかない。
「MONSTER 」のほうでは、存在していたものをこの世から消していくということに大きなテーマがあったと思う。しかし、本書ではありもしないものを人々の脳に存在するものとして刷り込もうとしているのだろうか。つまり、フィクションのノンフィクション化をねらっているだろうか?
浦沢直樹という人が手がけただけに、ついつい裏の裏をよんでしまう。事件に関する新聞記事や写真には「ほんと、よく作ったな」と感心させる。しかし、「そうだよ、本当のことだもの」とささやかれているような気がしてしまうのだ。
2002/08/06 20:50
詩と出会うきっかけに
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今の時代なんだかとても詩が衰えているような気がしてなりません。詩はことばそのものの力を私たちに無理やり見せ付けるからでしょうか? この本は詩の中級者向けといった感じの本です。詩の世界以外(世間)ではあまり有名ではないかも知れないが、知らずにいたら大損をするような詩人にきっと出会えます。ただ、お気に入りの詩人を見つけても、その方の詩集が手に入り難いのがつらいところです。
2003/02/17 20:52
書評というよりは独り言
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「銀の匙」「妹の死」「犬」「鳥の物語より・鶴の話・白鳥の話」「漱石先生と私」そして詩が少々。
一般に「銀の匙」しか知らない人は「犬」を読んだ場合少なからず衝撃を受けるようだ。確かに極端なまでに醜い性欲が描かれている。しかし、この生々しい物語もまた中勘助の否応のない一部なのである。彼の随筆は美しく静かであるが、時折胸が凍るような、そしてなんとも形容しがたい嫌な感覚に襲われることがある。それを感じている者にとっては「犬」はそれほど驚くべきものではないような気がする。
中勘助は「私を愛する者はこの醜悪無慙な私を愛してほしい。希くは観ることは氷のごとく冷に、愛するは火のごとく熱からんことを」と語っている。この言葉を読んだとき私は思わず笑ってしまった。そう、中勘助の文章を読むということは、中勘助を愛することなのだ。
彼の文章は悉く美しい。どんなに醜悪なことを描こうと彼の文章の品格が失われることはない。中勘助の文章について的確に表現することは私には不可能である。そして、的確に表現されているものも目にしたことがない。
しかし、最近になってほんの少し分かってきたことは中勘助という人は間違いなく詩人であるということだ。いまさらこのような当たり前のことをいうのは恥ずかしいが、仕様がない。以前、中勘助が「私は詩作をするよりも、詩を生きることに忙しかった」という類のことを語ったものを読んだ事がある。これの言葉は、すーと私の胸に落ちた。彼は詩を生きたのだ。詩を生きた彼の文章、それはどのような形態を採っていようが詩以外の何者でもない。
現に彼の文章は常に朗読されることを欲している。あたかも音になり空気中に拡散されるまで、仮初にそこに身を休めているかのように。それは当たり前のことなのだ、彼の文章は詩なのだから。
紙の本外套・鼻 改版
2003/02/12 21:13
騙されてください
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いやはや、まったくビックリしました。こんなに面白い本があったなんて!
ゴーゴリというとあのドストエフスキーをはじめとするロシアの文豪に影響を与えたと、もっぱらの話ではないですか。そんな話を聞いたら、どれほど暗く重い話だろうと想像してしまうではないですか。
しかし、そんな妄想はナンセンスでした。「鼻」の面白さといったら、もう。だって、「鼻」が五等管の制服を着て信心深そうに礼拝してるんですよ。そこに、「鼻」の主が「もし、貴方、」って話し掛けちゃうんですよ。もー、面白いったらないです。
まあ、色々とこの話にあるであろう「何か」について話さなくてはならないのかも知れませんが、そんなのは学者先生にお任せします。そんな面白くない話をして変な先入観を植付けたくはありません。とにかく、下手なお笑い見るよりこっちの方が何十倍も面白いです。騙されたと思って一読を。
紙の本オイディプス王 改版
2003/02/08 22:29
知らずにいることの幸福
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人知の及ばない絶対的な力による悲劇を描いたものでこれ以上のものはないと思う。この悲劇は、「オイディプスはそういう運命だったのだから仕方がない」という一言なんだと思う。
この戯曲を読むと、知るという事がはたして本当に幸せをもたらすのかという疑問が浮かんでくる。自分のルーツや自分自身を知ることが自我の確立には必要なのだという考え方は、はたして幸福を約束するものなのか? 知らずにいたほうが幸せなことだってあるだろう。あれほどの賢人オイディプスでさえ本当の自分というものが耐えられなかったのだ、まして凡人以下の私だったらと思うと怖くなる。
紙の本中勘助随筆集
2002/08/08 11:04
少しでも多くの人に知ってほしい
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夏目漱石に推薦され無名の新人であった中勘助の「銀の匙」が連載されたのはあまりにも有名です。そんな、勘助と漱石の数少ない交流がこの随筆の「夏目先生と私」の中で語られています。漱石の「私の個人主義」のなかで語られている、いやでいやでしょうがないのに兄に無理やり釣りに連れて行かれる少年は「銀の匙」からひいた。そんな面白いエピソードも書かれています。また、面白いのは、漱石の勘助に対する誤解を勘助が冷静に分析しているところです。
中勘助という人はとても不思議な人で、詩をとても愛しており散文は嫌っていたようなのですが、それにも関わらず彼の散文はこの上なく美しく、詩以上に詩的なことです。彼の随筆を読むと、人間嫌い、ナルシスト、自己中心的そんな面も否応なく見えてきます。しかし、彼がそんな人間だったからこそ、あのような匂いたつような文章が書けたのだと思えてきます。
紙の本詩を贈ろうとすることは
2002/08/07 11:36
詩を贈ることについて
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本書の中の「詩を贈ることについて」これを読むためだけにこの詩集を買っても損はないと思います。ものを書く人には一生逃れられないこと、それをストレートにぶつけています。
ことばとは本当に不思議なもの。コミュニケーションを円滑にするかと思えば、争いの元にもなる。きっとこの世には同じことばで話しをしている人なんで誰一人いないのでしょう。同じ日本語で話している気でいるけれど、それはたがいの最大公約数で話をしているだけ。しかしそれに絶望していないところがこの詩人の素敵なところです。同じ言葉を持つことを切望しているが、絶望はしていない。
でも、この詩を読んでこんな風に感じていることだって大間違いなのかもしれませんが。
紙の本手紙、栞を添えて
2002/09/05 19:46
的確な言葉で私たちを感動させる
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季節の挨拶、相手を思い遣る何気ない言葉、文学に対する的確な言葉。この、辻邦生氏と水村美苗氏との間で交わされた書簡は、そんなすばらしい言葉に溢れている。
ページをめくるごとに胸踊る言葉が待っている。そして、「嵐が丘」や「カラマーゾフの兄弟」を読んだ後の、形を持たなかった胸を駆け巡る思いに、的確な言葉を与え、輪郭を与えてくれた。三重苦のヘレン・ケラーのように、私はこの本に出会い、「文学」に対して言葉を得た気がする。
紙の本ヘリオット先生奮戦記 上
2002/08/08 18:37
小説版「動物のお医者さん」?
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気分が沈んだり、イライラした時に手にとりたくなる本です。本当に掛け値なしにおもしろい。「動物のお医者さん」が好きだった人なら間違いなく気に入ると思います。
個性的な動物たち、そしてそれに輪をかけて個性的な飼い主たち。そしてそして、彼ら以上に個性的な雇い主のファーノン先生。面白くないはずがありません。笑いたいときにどうぞ。
紙の本オセロウ
2002/08/07 11:04
こんなに面白いのに
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こんなに面白いのに何で皆読まないのだろう? シェイクスピアという名前の前に立ちすくんでしまうのかな? 私はシェイクスピアはマンガだと思って読んでいます。だって、基本的に戯曲はせりふで進んでいくではないですか。それってマンガの吹き出しを読んでいることとどこが違うのでしょか? それに、基本的に大衆演劇であることは否めないし。つまり、たいていの人にとって面白いということではないでしょうか。
オセロだけでなくほとんどのシェイクスピアの作品は、一見やりすぎというように見えてしまいますが、本当に人間の本質を描いていると思います。「こんなのありえない」そう思っても、すぐに「人間ってこういうわけの分からないことをしてしまう事ってあるよな」と思わずにはいられないのです。
紙の本銀の匙
2002/08/06 20:27
私の一冊
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私が「銀の匙」をはじめて目にしたのは中学時代の国語のテストでした。ほんの数行にもかかわらず私はこの文章のとりこになってしまいました。実はその数行から作者は女性だとしばらく思っていました。私はこの自分の間違いが少し自慢なのです。中勘助の本質を少なからず捉えているのではないかと勝手に悦に入っているのです。匂いたつ文章。こんな本を私はいまだかつて読んだことがありません。幼い頃蚊帳のなかで嗅いだ夕立の匂い。皆さんも思い出してください。
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