仰原梓さんのレビュー一覧
投稿者:仰原梓
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2002/11/11 20:30
切なさ漂う短編集
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
全篇を通して切なさが漂う短編集。
ひとつひとつの作品がとても丁寧に描かれており、読む側としても大切に読んでいける。
表題作の「夏時間」では、ひと夏の少年と壮年の恋愛を描く。
過去、現在。色々な感情が入り乱れる重い話だが、作者の力量がその重さを感じさせない。
また、こてこてのシリアス、コメディなど、国枝彩香の多彩な一面を見ることができる。
ただ確実なハッピーエンドがないのがハッピーエンド好きには物足りないかもしれない。
それでも、なぜか心が満たされる感じがする。それだけ素晴らしい作品が揃っているということである。
今後の活躍がとても期待のできる彼女の初コミックス。
後悔しない一冊だ。
紙の本華は貴族に手折られる
2002/11/10 15:36
いじらしい恋愛
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
遠野春日の「貴族シリーズ」第3作目。
今回は、明治の貴族界での青年実業家(桐梧)と没落貴族の次男坊(葵)との恋愛模様を描く。
見所は何と言っても葵の人柄であろう。
続々と「家」という存在に頼ってきた無能の貴族達が没落していくなか、両親がヨーロッパにも逃げたにも関わらず、一人で借金取りと戦おうとした彼に桐梧は強く魅かれる。
真の意味でのプライドの高さというところに、私自身もはっとさせられた。
底から這い上がってきた人間が血筋の良い人間をいいように扱い、その中での恋愛に躊躇するが、愛情が理性を上回っていくという話はよくある。しかし、この作品は飛びぬけて主人公達の想いが分かりやすいため、二人に感情移入しやすく、また第三者としても面白く読むことができる。
素直になりきれない二人がいじらしくてでもそれが面白い。最後に「ごちそうさま」といえる読後感が良い作品だ。
紙の本情熱のゆくえ
2002/11/10 14:34
危機感の中の恋愛展開
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「ひそやかな情熱」の続作。
前作に引き続き、遥と佳人の恋愛はややゆっくりとした進行。
とはいえ、アクションシーンが加えられたため、実際進んだことは小さいながらもスピード感のある展開が味わえるだろう。
また、主人公達のカップリングに加え、今回はあの東原(やくざの大幹部)の話も。表題作と東原のものとで2本話はあるのだが、表題作でも東原達の話はかなり楽しめる内容になっている。
静かに、しかし深く互いを愛する二人の姿がしっかりと描かれている。次回作を是非読んでみたくなる作品である。
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