上野 Nobさんのレビュー一覧
投稿者:上野 Nob
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紙の本悪魔の野球
2002/11/07 08:48
大いに失望
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プロ野球ファンとして、常日頃から読売巨人やナベツネオーナーによる「球界の盟主」的な発言に嫌みを感じていたので、本書を書店で手に取ったときには期待が膨らんだ。だが、読後の感想は「おそまつ」としか言い様のない物だった。
著者の本業はデザイナーで、アンチ巨人が高じて本書を記したということだが、ここに列挙されている「読売の悪事」は、ほとんどが根拠のはっきりしない噂話で終始してしまっている。また、それらをきちんと検証や裏付け取材することを放棄している。
まず本来、いちばん最初にすべきである当事者や関係者への取材が全くなされていない。選手や審判、球団関係者などにコンタクトを取ったことすらないのではないか? 電話取材さえしていないようだ。ほとんどの情報ソースはスポーツ紙や書籍、インターネットの掲示板からの抜粋で終始していて、これで「渾身のレポート」とは言えないではないか。本書の半分以上は記事や書籍に関する「読書感想文」といった方がいいようなものだ。
それと、インターネット上の匿名の掲示板に書かれた発言を恣意的に選択して取り上げ、「多くの人がこれだけの疑問をもっているのだからやはり何かある」というような断定的な書き方をするのは、はたして許されることなのだろうか? この方法論ならどんな悪口雑言や卑劣な噂話でも出版できてしまうではないか。
巨人嫌いの人や、本書に書かれているような噂話をそのまま鵜呑みにしてしまう人には、ある程度の爽快感やカタルシスをもたらしてくれるだろう。しかし、それは女性週刊誌や夕刊タブロイド紙などと同じ程度の「面白さ」であり、本当にプロ野球を愛する姿勢とは相容れないものだ。
なによりも残念なのは、このような本が世に出ると「アンチ巨人なんて、所詮このレベル」といった評価が定着してしまうことである。
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