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文学かぶれさんのレビュー一覧

投稿者:文学かぶれ

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紙の本愛に撃ちぬかれし者

2003/02/06 23:19

新しい才人の誕生だ

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私達は、今この天才とさえ言えるかもしれない、偉大な作家の誕生に出逢っている。明らかに、作者のスタンスはサリンジャーに拠っている。この点では、村上春樹に近いというか、重なる所が多い。実際、ほぼ同じ時期に出版された「海辺のカフカ」は極めて、この本に本質が近いと言える。もし、この本を村上の名前で出版していたら…、想像はつかない。とにかく、龍の「限りなく透明に近いブルー」が、あれ程の性的、暴力的描写に満ちていながら、極めて静的て清らかなように、この本もまた、目を背けたくなるような、哀しいシーンが多いにも関わらず、限りなく清らかである。限りなくピュアで、限りなくイノセントなのだ。これは、誰もが届く境地では無い。選ばれし者が辿り付ける、ライ麦畑の世界である。これは、いずれ、日本をでは無く、世界的に二十一世紀を代表する一作になると、私は信じている。

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