tsuccheeさんのレビュー一覧
投稿者:tsucchee
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紙の本壬生義士伝 下
2003/02/15 23:07
泣きたい人、歴史物好きの人必読!
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上巻に引き続き、新撰組隊士 吉村貫一郎の人となりが、明治以降も生き残った人々の証言として語られていく。実在の人物ながら、今までの新撰組ものではほとんど取り上げられることの無かった主人公が、この小説により最も身近に感じられるようになる著者の技量と力量に脱帽! 新撰組ものでは常連の近藤勇、土方歳三、沖田総司などのキャラクターも非常に上手く書き分けられている上、歴史上の謎とされる竜馬暗殺についても、著者の見解をサラリと自然に入れている語り口の上手さには、思わずニヤリとさせられる。幕末から大正にかけて大きく変わる日本の風俗・社会状況から、証言者ごとの話し振りや方言などの細かい所まで、まさにその時代にその場にいて取材をしたのかと思わせるほど自然に描写されている点も凄い。昔のようでいながら、ほんの少し前までは同時代の人が生きていた… そんな遠いようで身近な日本を、今までの新撰組ものには取り上げられなかった東北出身の主人公を掘り起こすことにより、現代によみがえらせている。今の日本人が忘れつつある日本の心、今につながる昔の日本人の生き様や心意気が、埋もれそうになりがちな東北の歴史とともに掘り起こされている。上巻以上に泣きドコロも多いので、電車の中で読むときにはご注意!
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