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斎藤 哲さんのレビュー一覧

投稿者:斎藤 哲

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本プーチン、自らを語る

2000/12/06 15:15

イメージ・キャンペーンの中から浮上する非理念型・能吏型の実像は,対外経済関係上プラス効果が期待される

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 旧ソ連大統領とロシア初代大統領の類書と読み比べると,際立って対照的な特性が浮かび上がる。ゴルバチョフ氏は共産党のエリート育ちらしく社会主義の改革・再生への執念がにじみ出たし,エリツィン氏は社会主義体制への不信感が露わだった。
 プーチン大統領は旧KGB(国家保安委員会)勤務からサンクトペテルブルク副市長,大統領府勤務,ロシア首相へという道を歩んで,常に勤勉な能吏として才能を発揮,昇進してきた。本書を通読すれば,ここの発言内容の“真偽”はさておき,プーチン氏の関心はたとえば,どんな国家像が理想的かでなく,国家として正常に機能する状態の確保に専ら向けられていることがわかる。理念型でなく当面の問題処理に有能な実務型の政治家という顔が,具体的な難題への取り組み方にはっきり現れている。しばしば「強い権力」を目指すと言われるけれども,大統領自身は「強い」というより「効率的な」権力という言い方が好きだとも言う。
 このような実像はマフィアの暗躍,法秩序の無視といったロシアの現状を不安視する外国企業などの目には望ましいものと映るはずだ。それを意識してか,「私有財産を没収し,国有化するという主張」を残存するイデオロギーの「ゴキブリ」だと一蹴している。
 インタビューしたロシア人ジャーナリスト3人と解説を書いた米誌ニューズウィーク日本版元編集長は,大統領の発言の「忠実な再現」は真実性を保証しないなどと極めて慎重で控えめである。大統領選挙前の質疑応答で,大統領側のイメージ・キャンペーンの色彩が拭いきれないからだ。しかし,馴れ合いの質疑は目に付かない。エリツィン・ファミリーとの関係,チェチェン問題などで鋭く切り込んでおり,「答えになっていない」と追及する。家族や元上司らの証言を随時挿入しているが,うそが多いようには思われない。本書は英語版からの翻訳で,ロシア語版に載らなかった部分も含まれている。プーチン氏のブレーンたちが書いたとされる論文「新千年紀を迎えるロシア」が巻末にある。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本ロシアの「新興財閥」

2001/04/18 18:16

ロシア産業界の系列化,政界との関係の具体的な分析が,ビジネス情報を読み解く手がかりになる

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 ロシア経済を見る場合,各種統計を分析するだけでは不十分だ。産業界の大半は巨大企業集団によって支配され,新興財閥=オリガルヒーの動きを視野に入れる必要がある。だがプーチン政権とベレゾフスキー氏やグシンスキー氏らオリガルヒーとの関係が激変してきている。企業集団に関する論文は,書き上げられた時点で最新の状況と一部食い違ってしまう。著者はそれを承知で,2001年初めの時点の分析結果をまとめた。
 このところ「新・新興財閥」とも呼ばれるようになったシベリア・アルミニウム・グループのデリパスカ氏らにも言及している。極めて簡潔で読みやすい。 欧米企業による対ロシア市場進出のニュースは大規模な例こそ少ないが相変わらず続いている。その関係企業名からビジネスの先行きやプーチン政権の志向,政権内権力争いの帰趨(きすう)などを読み解くことも不可能でない。
 著者の経歴は多彩で日経証券部記者,朝日新聞モスクワ特派員もつとめた。ロシア企業集団,腐敗構造などの分野では,第一人者と目される気鋭の若手研究者。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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紙の本最新|ロシア経済入門

2000/12/06 15:15

金融・財政に関する部分が実務に通じた筆者ならではの水準の高い貴重な分析

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 入門書は基本的な事実の記述から段階的にレベルの高い分析へと進む,というのが一つの書き方かもしれないが,それにしても本書は,第1部「新しいロシア」,第2部「移行期のロシア経済」,第5部「日ロ経済関係」などの記述ぶりと,第3部「金融・財政」の専門的な分析との落差が大きすぎるように思われる。
 まず入門書にふさわしからぬ金融・財政に関する部分について言えば,筆者が旧東京銀行勤務時代に対ロシア交渉に直接かかわった経験を生かし,精細かつ具体的な実態解明を試みて問題点を探っている。この分野で実務に精通した専門家は少なく,当然ながら類書は皆無に近い。貴重な労作と言えるだろう。資料,統計の処理なども適切だ。国際金融機関,国際金融市場からの視点に立つ現状把握,問題点の指摘にも長年の実務経験の裏付けが感じられる。研究者,ビジネス関係者に示唆するところも少なくないだろう。もっとも用語がいかにも生硬であり,一般読者にとって決して読みやすくない。
 第1部や第2部は基礎的データを並べる形になっている点で学生などには便利かもしれないが,「国土・自然条件」「人口」「資源大国ソ連」といった項目の立て方は,なんとなく年鑑とか用語辞典ふうであり工夫が欲しかったところだ。第5部の「日ロ経済関係」は,貿易取引の促進を願う筆者の意図が前面に出過ぎている。金融・財政の分析でいろいろな問題点があげられ,それらの解決が容易でないと指摘されているのに,ここでは専ら日ロ間の相互補完関係や国際的な動き,日ロ関係全般の変化から経済関係拡大の可能性が強調されているのはいかがなものだろう。
(C) ブッククレビュー社 2000

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銃口にひるまぬフィールドワークと冷徹な国際政治分析から,アジア・ユーラシアの新システムを予見する

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 いわゆる「ユーラシア」の中核の一つはカザフスタンやタジキスタンなどの中央アジアだが,この地帯が一時期ほど話題にのぼらなくなった。カスピ海エネルギー資源開発に新しい動きが少なく,他方で朝鮮半島情勢の急展開が脚光を浴びるようになった,という事情が絡んでいる。しかし,中央アジア地域の重要性が低下したわけではないし,また本書には朝鮮半島激動のシナリオも入っている。
 著者は筑波大学助教授から国連タジキスタン監視団政務官となり,1998年夏,現地でゲリラに襲われ殉職した。研究活動ではスポーツで鍛えた抜群の体力と類い希な胆力により,ジャーナリストも逃げ出す危険地帯に飛び込んで実態把握に努めた。追悼文集には「稀有の行動派学者」「ラスト・サムライ」「高貴なる野生」といった言葉が並んだ。本書の第二部は雑誌に掲載された紛争地レポート集だが,コサック兵が著者の頭上30cmの壁に銃弾を撃ち込む場面とか,銃撃戦を演ずる双方と交渉して真ん中を歩いて渡る場面とかが出てくる。冒険談が紛争地の実情を読者の肌に伝える。
 著者は桁外れのフィールドワークを積み重ねながら,高い視点から国際政治を分析する態度も崩さない。本書の第一部「ユーラシア学序説」は未発表論文である。米国,ロシア,中国を含む各国の利害関係や思惑を整理し,東西軸と南北軸に分けて明快にシナリオを描いてみせる。朝鮮民族の「母国」誕生にも北方領土問題にも触れている。国際関係を単純に図式化せず,実態を踏まえてその複雑さを示す。たとえば,ロシア・エストニア間の領土紛争に関連して,ドイツがロシア側を具体的支援で後押ししている事実を暴露している。専門分野を同じくする学者からは批判も出るだろうが,ユーラシア学序説には説得力があり,当時の橋本政権が打ち出した「ユーラシア外交」と密接に絡んでいたことにも留意したい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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