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内海 龍太郎さんのレビュー一覧

投稿者:内海 龍太郎

2 件中 1 件~ 2 件を表示

遺伝子組み換え食品の虚像と実像にせまる良書

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 P.BergやS.N.Cohenなどが遺伝子組み換え技術を開発してから,はや30年が経過した。その間,この技術はバイオテクノロジーの中核として,着実に発展し,21世紀初頭の,ヒトゲノム解読という快挙も,この技術の発展なくしては,なしとげられなかったであろう。
 いまや,地球上に存在する生物の遺伝子情報が日々,続々と解明され,遺伝子治療に代表されるように,遺伝子資源の医薬,農業,工業分野における有効利用が本格的に胎動している。21世紀,人類が直面するであろう食料問題,環境問題,健康問題に対処する有望な技術として,遺伝子組み換え技術が果たす役割は計り知れないものがある。遺伝子組み換え食品もこの大きな歴史の流れのなかで,必然的に生み出された産物である。その意味で,我々は避けては,通過できない重大な問題のひとつである。
 本書は遺伝子組み換え食品の現状を客観的に,正確に記述しており,遺伝子組み換え食品のぜひを議論する良書となるに違いない。しかしながら,“市場に出ている組み換え表示食品は,大丈夫ですか”という,謙虚な問いに本書がどれほど答えているのか? その点について,消費者側に立った,見解が十分に描かれていないことに,性急な解答を求める読者はものたりなさを感じるかもしれない。
 しかし,本書は遺伝子組み換え食品に関する政治的な,国際的な農業問題についても言及しており,遺伝子組み替え食品の問題解決には,複雑な幾重にもよじれた糸をほぐす必要があることを指摘している。その意味でも,おおむね本書は,我々読者が遺伝子組み換え食品に対する正確な判断をくだすためのタイムリーな著書として,高く評価されるであろう。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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解き明かされた遺伝子から21世紀を読む。第2世代の遺伝子工学の開幕

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 1950年代,遺伝子の構造の解明,遺伝暗号の解読以来,地球上に存在するすべての生物は姿,形は異なるが,遺伝子を中心に語られるようになった。このような遺伝子を中心にした生命観はセントラルドグマと呼ばれるようになり,20世紀現代社会の人間の哲学思想,生命像に大きな影響を与える事になった。このようなセントラルドグマの原理に基づき,1970年代,誕生した遺伝子工学は医薬品,遺伝子組み替え作物など,医薬農業生産にバイオテクノロジーの飛躍的な発展をもたらした。1990年代において,ヒトの全遺伝子(ゲノム)解読作業が開始され,今世紀末において,その全貌がほぼ明らかにされてきた。さらに,ヒト以外の生物も続々とそのゲノム構造が明らかにされるようになった。
 これらの,豊富な遺伝子資源を利用し,新たな第2世代の遺伝子工学が誕生しようとしている。本書は,ゲノム・サイエンスの最新の成果と米国におけるゲノム産業の実態が生き生きと述べられている。
 本書において,ゲノム・サイエンスのもたらす革命的な成果の数々が紹介されている。たとえば,ハンチントン病遺伝子,てんかん遺伝子,肥満遺伝子,乳がん遺伝子などの遺伝子が続々発見され,21世紀が遺伝子治療の時代になることを期待させられる。病原菌ゲノムの解読は,新しい抗生物質の標的探しに有望で,21世紀の感染症対策に重要な役割を果たすと思われる。さらに,われわれ人間の寿命,心の問題までも遺伝子により解明されつつある。
 さらに,遺伝子研究の進展により,生命の神秘のベールが一枚,一枚はがされた。生命の誕生の神秘はもう神の領域ではなく,生命工学とも言うべき時代の到来が,否応なく21世紀に待っている事を読者は知らされる。生命誕生とは,受精卵のゲノムにプログラムされている遺伝子情報が逐次解読されていくことにより可能となる。本書では,発生プログラムにかかわる重要な遺伝子の発見を概観し,臭覚,毛の成長パターンの決定など生体の生理学についての,遺伝子レベルの説明が紹介されている。
 驚くべきことに,それらを支配する遺伝子の操作により,1つの細胞からいくつもの目を発生することも可能となっている。これらの生命操作はクローン動物の作成技術とも連携し,21世紀のライフ・サイエンスの基幹となる。このように,本書は遺伝子研究ならびに遺伝子産業の最前線の内容をていねいに,読者に紹介することにより,遺伝子からみた,21世紀社会を見事に浮き上がらせている。
(C) ブックレビュー社 2000

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