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前原 金一さんのレビュー一覧

投稿者:前原 金一

3 件中 1 件~ 3 件を表示

日本経済の構造改革の必要性を説き,来たるべき日本社会の姿を「ボランタリー社会」として描き出す

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 本書は官庁エコノミスト出身の著者が,主にこれから社会に出て働こうという学生を対象に,現在の日本経済の直面する事象と課題を幅広く取り上げて整理し,さらに発展への制約条件を明らかにした上で,それを取り除くための構造改革の必要性と将来社会への展望を示したものである。
 日本経済の過去10年の停滞の原因を三つの錯覚(貨幣錯覚,行政錯覚,財産錯覚)によるものとし,現在はようやくそれから脱け出しつつあるとの現状認識,さらには構造改革のポイントが,企業システムの変容,金融秩序の再編成,財政再建の3点にあること等の主張には全く異論はない。図表を多く取り入れ,キーワードはゴチック活字で表示する等,読者への配慮が行き届いており,記述も明快でわかりやすい。
 しかし将来の日本社会の姿として,本書の副題ともなっている「ボランタリー社会」なるものについては,そのイメージが評者には今ひとつ不明瞭であり,スローガン先行との印象は免れないとの感想を持った。ITと生命科学を起爆剤とした「地縁社会」が「中間組織(ボランタリーコモンズ)」の活動によって実現するとし,具体的にはNPO,NGO等が大きな役割を果たすとのまとめ方は,評者のように長年実業の世界に携わってきた人間としては,今ひとつ実感に乏しく,やや戸惑いを覚えることも否めない事実である。
 20世紀が資本主義と社会主義との相克の時代であり,世紀末に至って資本主義が勝利し,それがグローバル化という姿をとって力を振るっているのが現状であるとすれば,21世紀にはさらにその流れが加速するのか,それに対してどのような“反動”が出てくるのか,あるいはさらに新たな価値体系が出現するのか。こうした広い意味での“世界観”の提示をぜひ試みて欲しいものである。あるいはそれは本書の枠を超えた課題であるかも知れないが…。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本保険と年金の経済学

2000/10/06 15:15

保険および年金の原理と現実をミクロ経済学の理論を用いて分析し,それに基づいた改革の方向を提示

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 保険および年金が価格・効用理論を中心としたミクロ経済学の理論と深い関係があることはかねて周知の事実であるが,それらを実務や現実の制度と結びつけて取り上げた本は数少ない。しかし,近年のミクロ経済学の飛躍的発展によってそれらの応用としての保険・年金等への関係者の関心は着実に深まっている。本書は,保険・年金を専門とするがミクロ経済学の最新理論にも精通している著者が両者の“連結”を試みた野心的な著作である。
 本書では,まず基礎編においてミクロの理論面を取り上げる。ここでは保険・年金を従来の主流である期待効用理論の面から解析する。ここにおいては,人々は市場における「自己利益の最大化」のために「最も合理的な選択をする」と前提される。しかるに本書のユニークな点は「人々は必ずしも常に合理的な行動をするとは限らない」という視点に立つ,「非期待効用理論」を紹介し,それを保険・年金の分析に適用した点にある。著者はこの点について,これまでの正統的な経済学が,人々や企業が合理的行動を取らなかった場合にどのように経済メカニズムが混乱するかについて余りにも無思慮であったことを指摘し,非期待効用理論がその意味で伝統的な経済学の「外在的批判」ではなく「内在的批判」であることを主張する。
 次の応用編においては基礎編の理論分析をふまえ,社会保障および保険についての現状分析と具体的改革提言が述べられる。まず,公的年金については賦課方式と積立方式の優劣につき,人口成長率と経済成長率の合計と投資利率との大小関係で決まるとし,現在の日本のように急速に高齢化の進む社会でも,実は利子率が十分に高ければ賦課方式の方が望ましいという一見意外な結論を導く。
 次に,医療制度においては1人当たり老人医療費の伸びを勤労者1人当たりの給与の伸び程度に維持することを目標とすべきとし,さらに具体的な制度改革を提言する。著者の提言は医療保険制度の「一本化」である。保険料・給付についてそれぞれ「標準」を設定し,この部分に関しては完全に制度を一本化した上で,各保険者間の財政調整を行った後,給付についてその標準を上回る部分を付与(付加給付)することを各保険者に認めるというものである。これは非高齢者のみでなく高齢者にも適用される,いわゆる「突き抜け方式」となる。かねてから医療保険制度についてユニークな提言をしている著者の新たな問題提起として注目される。また,保険業の資産運用上の課題として長期投資の視点の不足と国際分散投資の不十分さが理論面から導かれていることも重要な指摘である。
 本書は理論と応用のバランスが良くとれている上,全体の記述も平易でわかりやすく書かれており,保険・年金に関心を持つ読者のニーズに広くこたえ得る好著である。
(C) ブックレビュー社 2000

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老後保障での自己責任時代の到来で,個人の資産運用に重要な役割を担う投信を幅広い視点から解説

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 投信は,現在,より大きな役割を果たすことを期待されている。それを求めている大きな社会的変化の最たるものは,老後所得保障における自己責任の高まりである。公的年金の内容は高齢化と少子化の進行等により今後さらなる後退が不可避とみるべきであるし,また,企業においても従業員が運用リスクを負う日本版401kプランが導入されようとしている。結局,国民一人ひとりが,自力で,自分の老後のために資産形成していく必要が飛躍的に増大しているのである。政府は,ビッグバンやこうした流れやをふまえて,投資家の保護と投資家に求める自己責任のバランスを考えつつ,目下,金融サービス法制を再構築しつつある。
 しかし,平均的な国民が,さまざまな投資リスクがある中を,自力で,複雑多様な金融商品を活用して,長期にわたり賢明な投資家として虎の子の資金を効率的に利殖していくのは容易なことではない。大半の国民は投資に関する十分な知識を有していないから,こうした国民にとって,代わって資産運用をしてくれる投信への期待は大きい。
 本書は,機関投資家・運用会社・販売会社・格付会社等の実務家たちが,それぞれの得意分野を執筆し,本来投信がもっている利点,いまなぜ投信新時代か,投資理論,今後の課題等々を豊富なデータをもって幅広く説明し,1人の著者では到底網羅不可能な広がりを備えており,現時点での投信の状況,および国民が基本的にもっと投信を活用すべきであること,資産配分を真剣に検討する必要などがよく理解できる。
 その上で,なお残る不安は,「投信の現代的意義はよくわかったが,現在の投信は本当に信頼に足るか」である。回転売買に象徴される顧客不在の歴史で悪名の高い投信が,国民に受け入れられ,「投信新時代」を拓いていくためには,いっそうの競争の促進,業界関係者のディスクロージャーなどの真摯な取組みと投資家による監視が不可欠であろう。
(C) ブックレビュー社 2000

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