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牧野奈緒さんのレビュー一覧

投稿者:牧野奈緒

6 件中 1 件~ 6 件を表示

「乙女という響きに反してマニアックな映画、本、音楽評」

2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「あなたが可愛い女の子なら観ていなくては・聴いていなくては・読んでいなくては!」という映画・音楽・文学を紹介する、その名も『乙女カルチャー入門』。「まだ二十歳くらいのデビュタントな女子ならばスタディ用に・もう少し年が上ならば確認作業用に」とのことだ。…私はちょっとこの本を手に取る資格はなさそうだが、厚かましくもページを開いてみると、これが結構マニアックな品揃えで意外や意外。いったい当世の若い女の子が本当に、こんなものを観たり聴いたり読んだりするのだろうか?と半信半疑で読み進んだ。

巻末の紹介によると、著者の山崎まどかさんは、雑誌「オリーブ」に連載をもつライターの方。まさか四十過ぎた女性がこのような文章を書いているとは思えないので(もしも万が一そうだったらお許し下さい)、「二十歳よりもう少し年が上」くらいのお若い方だと察せられるが、それにしては古いものをよく知っていらっしゃる。オードリー・ヘプバーン、バート・バカラック、ゼルダ・フィッツジェラルド、森茉莉…といった名前が出てくるのはまだよしとして、マキノ正博の「鴛鴦歌合戦(1939)」なんて出てくると、おじょうさんいったいおいくつ?!と思ってしまうのは私だけではないはず。よほど映画好き・音楽好きの親御さんかお兄さんお姉さんがいて、そういった話題に溢れた環境でお育ちになったか、はたまた相当に年の離れた彼氏に影響を受けたか…などと、つい余計な邪推をしてしまう。

ともあれ、こだわりがありそうでなさそうな、本書でとりあげられているアイテムの意外性と、それを斬る女子校ノリの文章とのギャップは楽しめる。なんでも、著者が主宰する個人webサイト「ロマンティック・オ・ゴー!ゴー!」で紹介していた「乙女の定番」が発展して、このような1冊の本になったらしい。インターネット発だからだろうか、そういえば田口ランディと共通する何かがあるような気も。

私が「乙女」という言葉から想像するイメージは、この本とはだいぶ違うのだけれど、まあ、乙女の定義には諸説あるだろうし、乙女なんてとうの昔に絶滅してしまったという見解も多いだろうから、そんなことをとやかくいうのは野暮というもの。著者自身も書いているようにこれは、あくまでも「マイ・フェイバリット・シングス」を集めた極私的レビュー本として読むのが正解だろう。細かいところであまりムキにならずに、よくわからないところはささと流して、わかるところでは、あらまあこの本(/音楽/映画)にはこんな見方もあったのね、と時々驚いたり感心したりやれやれと嘆息したりするのが、少女も乙女も卒業して久しいオトナの女性に相応しい読み方ではないかと思います。

なお、本の紹介のところで、装丁についても結構言及されていたのは、ジャケ買い派の私としてもうれしい。ただ「花森安治のものは気にして探すようにはしています」とは、やはり、若いのに趣味が渋すぎる気が。うーん、おいくつなんでしょう?

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紙の本学活!!つやつや担任 B

2001/06/09 18:51

奥の深い装丁はいま一番人気の祖父江氏

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スピリッツに連載されていた、つやつや先生といろいろ学園の生徒たちが織りなす奇妙な学園マンガ。私はコミックというのは基本的にあまり読まないのだけれど、吉田戦車の笑いは結構好きだ。後半はさすがにネタがつきたか?という気がしないでもなかったが、なかなか読みごたえあり、同時発売のA・B巻を一気に読了。個人的には教頭Jr.のキャラがお気に入りです。
 それにしても、この花柄のチョ〜悪趣味なジャケット。このデザインを手掛けたのが、いま一番人気の装丁家のお一人である祖父江慎さんだと言うから驚きだ。祖父江さんといえば、筑摩書房『トーベ・ヤンソン・コレクション』みたいなしぶい装丁が知られる一方で、さくらももこのエッセイ本のようなポピュラーな本も結構手掛けており、その芸風の幅広さには脱帽。ジャケットだけのデザインはしないというポリシーをお持ちで、必ずエディトリアルも含めた全体の造本設計から手掛けられるというから半端ではない。『伝染るんです』の気が狂ったような装丁も、実は全部この方の計算ずくだったのだ。わざと乱丁風にしてみたり位置合わせを微妙にズラしたりとスミからスミまで懲りまくり、それが吉田戦車の不気味な世界と相まって得も言われぬB級感を醸し出している。いやはや、奥が深すぎ。

(牧野奈緒/装丁家・イラストレーター)
★このコメントはコラム「ジャケ買い一直線」より。

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紙の本学活!!つやつや担任 A

2001/06/09 18:49

奥の深い装丁は今一番人気の祖父江氏

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

スピリッツに連載されていた、つやつや先生といろいろ学園の生徒たちが織りなす奇妙な学園マンガ。私はコミックというのは基本的にあまり読まないのだけれど、吉田戦車の笑いは結構好きだ。後半はさすがにネタがつきたか?という気がしないでもなかったが、なかなか読みごたえあり、同時発売のA・B巻を一気に読了。個人的には教頭Jr.のキャラがお気に入りです。
 それにしても、この花柄のチョ〜悪趣味なジャケット。このデザインを手掛けたのが、いま一番人気の装丁家のお一人である祖父江慎さんだと言うから驚きだ。祖父江さんといえば、筑摩書房『トーベ・ヤンソン・コレクション』みたいなしぶい装丁が知られる一方で、さくらももこのエッセイ本のようなポピュラーな本も結構手掛けており、その芸風の幅広さには脱帽。ジャケットだけのデザインはしないというポリシーをお持ちで、必ずエディトリアルも含めた全体の造本設計から手掛けられるというから半端ではない。『伝染るんです』の気が狂ったような装丁も、実は全部この方の計算ずくだったのだ。わざと乱丁風にしてみたり位置合わせを微妙にズラしたりとスミからスミまで懲りまくり、それが吉田戦車の不気味な世界と相まって得も言われぬB級感を醸し出している。いやはや、奥が深すぎ。

(牧野奈緒/装丁家・イラストレーター)
★このコメントはコラム「ジャケ買い一直線」より。

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造本自体に「読み解く楽しみ」が

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懲りまくりといえばこの本の懲りまくり度は、ここまでやるの?という凄さだ。松田行正さんは美術出版社『デザインの現場』のADでもあるプロ中のプロ的装丁家。文筆の方でもご活躍で、現在もさまざまな媒体に連載をお持ちだ。本書は、暗号やミステリーを読み解くルールである「コード」というコンセプトで、氏がいくつかの雑誌に発表した文章やミニ・ダイアグラムの数々をまとめたもの。ミロの絵をパーツに分解したカタログとか、ヨーロッパにおける「縞模様」史とか「黄色」史とか、その興味の対象の持ち方と取り組み方が実に独創的で面白い。
 造本も、オリジナリティ豊かなアイディアがたくさんつまっていて非常にユニークだ。全体が文章中心のタテ組(text編)と画像中心のヨコ組(figure編)の2冊に分かれていて、真ん中をカパッと開いて両側に読み進んでいく仕掛けになっている。この2冊は高さの寸法が異なり、その差が13ミリ。この本に隠されたコードは「13」で、本文級数をはじめ版面に関係する数値がすべて13の倍数で構成されているなど、造本自体に「読み解く楽しみ」が隠されているのだ。
 こういう実験的な本を出すために、ご自分で「牛若丸」という出版社まで作ってしまったのであるから、気合いの入り方も違う。装丁マニア?必見の書。

(牧野奈緒/装丁家・イラストレーター)
★このコメントはコラム「ジャケ買い一直線」より。

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お気に入りのカフェで心地よいBGMを聴きながら

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「ハワイイ」を舞台にした池沢夏樹の掌編と芝田満之の写真とのコラボレーションが楽しめる、内容的にもビジュアル的にもスタイリッシュに仕上がった本。マットでナチュラルな風合いの本文用紙に、色調の美しいフルカラー写真が見開きでたくさん挿入された贅沢なつくりである。
 おはなしの方はダイアモンド・ヘッド(=カイマナヒラ)近くに建つ一軒家を舞台に展開する、もうさほど若くはない若者たちの青春の名残のような日々を描いたもので、サーファーの「ぼく」が見聞きした体験談という形で語られる。私個人的には、ちょっと物足りないという読後の印象が残ったが、字が大きくて少なくて写真が多いので読みやすいし、お気に入りのカフェで心地よいBGMを聴きながらさらっと読むのなどには見た目にも長さ的にも内容的にもぴったりでしょう。
 前々回の当コラムで本のオビについて考察したが、この本にもカバーの半分を占めるフルカラーの幅広帯がかかっていて、帯をはずせば真っ白な本になる。白地にエンボスで「Hawaiian Sketches」と小さく押されているところが効いているのだが、WEB上の画像ではそういう細かいニュアンスを伝えられないのが残念。ぜひともご注文のうえ手に取って眺めて下さいませ。

(牧野奈緒/装丁家・イラストレーター)
★このコメントはコラム「ジャケ買い一直線」より。

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紙の本装丁/南伸坊

2001/05/01 13:37

見て読んで楽しめる「笑える装丁家」作品集

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 月刊現代に連載中の南伸坊さんの装丁談義「ほんのおツマミ」の抄録。カラー図版満載の、見て読んで楽しめる作品集である。
 南伸坊さんといえば、いま一番人気の装丁家のおひとりだ。イラストレーターとしてのイメージが強いので、ご本人の画を使った装丁がまっさきに思い浮かぶけれど、その芸風は実に多岐にわたっている。つげ義春の作品集から、沢野ひとしのイラストを使った椎名誠のシリーズ本、ちくまプリマーブックスの仕事、結構出しておられる自著の装丁、ベストセラーにもなったあの本この本。…そうか、あれもこれもそうだったのか、という作品が次から次へと登場する。共通するのはメリハリのきいたキャッチーな装丁だということ。タイポ使いなどを含めて広告的な表現手法に近いデザインをされる方だという印象を、わたくし個人的には抱いている。
 そのアイディアの豊富さもさることながら感心するのはなんといっても、底辺に流れる旺盛なサービス精神だ。ご自分でも「笑える装丁が目標」と書いておられるが、わかる人にはわかる類いのニヤリ系やウフフ系の笑いから、アハハ系、ガハハ系の笑いまで、とにかく人を喜ばせ、笑いをとるのが使命だと感じていらっしゃるタイプの方だということが、この本を読むとよくわかる。
 氏のアイディアは、実にユニークだ。たとえば赤瀬川原平さんの『わかってきました。科学の急所』という本。カバーにはホルスタイン牛の模型と分度器と彫刻刀の写真が配されている。ビジュアルがきれいだし、なんとなく「理科っぽい」という程度で見過ごしてしまいそうだがこれ、「解る」という字を角、刀、牛に分解したのだそうな。…いやあ、座布団3枚! 同じ著者の『その日の結論』という本では、表紙にトイレットペーパーの写真を配している。こちらはもうちょっと簡単?で、「その日の結論」出したら拭かないと、というコトらしい。アハハ。とにもかくにも、こういうアイディアを考えるのが楽しくてしょうがないという雰囲気が、読者にも伝わってくる。それをまた上品にセンスよくまとめていらっしゃるところが、職人芸。
 1冊1冊の本の装丁にこんなカラクリが隠されていることを知ったら、それだけでも本を手にする楽しみが倍増するというものだ。本書を読んでシンボーワールドを満喫して、読書も人生も、もっと楽しみましょう。
(2001.4.26 牧野奈緒/装丁家)

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