ないとうふみこさんのレビュー一覧

——子どもの”大好き”がいっぱいつまった、「行動する絵本」——

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　ピートはご機嫌ななめでした。外で遊ぼうと思っていたのに雨がふってきてしまったからです。そんなピートをみていたお父さんは、いいことを思いつきました。
「そうだ　ピートでピッツアをつくったら　たのしくなるかもしれんぞ」

　わが家の４歳の末っ子が大好きな絵本です。じぶんで本棚からひっぱりだし、「これ読んで！」と持ってきます。読み終えるやいなや、「ピジャごっこしよう！」
　さっさとふとんにねそべり、ピッツァのきじになりきります。

　こねこねしてやると、くすぐったいのをこらえながらも至福の表情。その顔つきは本の中のピートくんにそっくりです。子どもの喜びの表情をかくもさらりと写し取るスタイグ翁の腕前に、あらためて感服してしまいます。

　そこへすかさず”ピッツァのきじ”から注文が。
「次はこれやってね！」
　指したページにあるのは”きじの空中飛ばし”。
「ええっ、こんなに高くは飛ばないよ」ちょっぴりため息をつきながら、わたし
は「よいしょ！」と”きじ”を持ち上げます……。

　ぺたぺたさわられたり、よいしょ、と抱き上げられたり、こんな単純なことが、子どもたちは大好き。でも忙しい毎日に流されて、親としては案外おこたりがちなことでもあります。雨に降り込められたとき、暑すぎて外で遊べないとき、最近スキンシップが足りないなと感じたとき、ピートくんといっしょにピッツァごっこをしてみませんか？　ただし、一度終わればかならず「もっともっと」と催促がきますから、そのつもりで。それから、くれぐれもぎっくり腰を起こしたりしないように……。