小倉寛太郎さんのレビュー一覧

『自然に生きて』は、私の偽らざる実感

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　山崎豊子さんの『沈まぬ太陽』が文庫本になり、再び大きな話題になっています。文庫本の帯には、「恩地元── この男の生き方があなたの魂を震わせる」とあり、山崎さんも、「ある一人の男を通して、組織の中で云うべきことを云い、糺すべきことを糺したために疎まれた現代の“流刑の徒”の生きざまとその家族を描きたい」と書かれています。
　過分なお言葉で恐縮の限りですが、それはさておき、確かに、私＝主人公・恩地元の原型だと言われています＝は、“懲罰人事”を課した経営者側の不条理に屈せず、『沈まぬ太陽』に書かれたとおりの人生を歩んできました。
　でも、私は何も特別のことをしてきたとは思っていません。大自然に励まされながら、仲間といっしょに自然体で生きてきたと思っています。普通の人間が普通に生きようとしていることが、国民の多くの皆様の温かい共感を呼んだのではないでしょうか？　そのことを語りたいと思いました。