高取 毬さんのレビュー一覧
投稿者:高取 毬
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2001/06/14 17:56
天賦の才との絶妙な平衡感覚
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ジョディー・フォスター。今やローレン・バコールばりの声と中性的な魅力を持つ彼女の名前を知らない大人はいないといっていいくらい有名となった今でも、男とのゴシップめいた話はまったく出てこない。馬鹿げたハリウッド特有の評判とも無縁な彼女の魅力の源を、著者フィリッパ・ケネディーは明快に解き明かしてくれる。現役ハリウッド女優の正真正銘の“真実”の物語である。
ハリウッド女優ものといえば、ドロドロとした人間関係のものが多いが、ジョディの生き方は、実にシンプルで歯切れがいい。彼女はまさに生まれながらにして大女優であった。
わずか13〜14才で彼女の名を一躍有名にした'76年公開の「ダウン・タウン物語」に始まり、ロバート・デ・ニーロとの共演作「タクシー・ドライバー」ですでに後の大女優としての姿をほうふつさせたジョディ。多くの子役達が、その成長過程で挫折し、映画界を去って行く中で、絶妙なバランス感覚を保ち続けた彼女の成功の秘密とは何か?
彼女の子役時代からの女優としての成功は、非常に稀有な生まれ持った才能と、“賢明な母親”ブランディーの、著者言うところの“導き”とが見事に結実した結果だろう。もちろん彼女のもって生まれた希有な才能もあるだろうが、母親の、ジョディをプロとして育て上げた手腕があってこそだ。それは、仕事の選び方にはっきりと出ている。子役の時代から現代に至るまで、常に将来を見据えていたからこそ、ジョディは他の多くの子役たちと同じ失敗をすることなく、大人の女優へと転身できたのだ。
そしてもう一つ、18才からの4年間を普通の女の子として極めて自然なかたちでの学生生活を満喫し、自分に磨きをかけることを忘れなかった彼女の聡明さも忘れてはならない。
普通の母親でさえ一歩間違えばとんでもないステージママ的存在になりかねない時代である。賢明な母娘の生き方としての示唆も十分、与えてくれる
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