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森一夫さんのレビュー一覧

投稿者:森一夫

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日本経済新聞2001/07/29朝刊

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 九〇年代後半以降、北海道拓殖銀行、山一証券、そごうなどの経営破たんが相次ぎ、大企業はつぶれないという神話はあっけなく崩壊した。米国では昔から企業の新陳代謝は激しく、一世を風びした企業でも倒産したり企業の合併・買収(M&A)によって他社に吸収されたりすることが珍しくない。
 本書は、米国企業十五社の経営の失敗をケーススタディーとしてまとめたものである。かつて家電業界に君臨したRCA、世界の空を飛んでいたパンアメリカン航空、小売業のモンゴメリー・ワードなど日本でもよく知られた企業から、自転車のトップブランドだったシュウィンなどあまりなじみのない企業まで幅広く取り上げている。
 いずれも各分野で一時代を画した企業なのに、なぜ没落したのかがテーマである。経営史が専門の著者は、それぞれの企業の生い立ちと業界の発展史も丁寧に紹介して、各企業の成功と失敗をわかりやすく描いている。共通するのは、成功に起因するある種の「傲慢(ごうまん)」さが経営者の判断を誤らせた点だ。
 しかし失敗の仕方は様々である。着想は素晴らしかったのに、有効なビジネスモデルを築けずに破たんしたパソコンの先駆者、オズボーン・コンピュータ。戦前「アメリカのロールス・ロイス」と言われた高級車メーカーのパッカードは、低価格車に手を出してブランド価値を自ら損ない、すべてを失った。偉大な父親の影に押しつぶされたRCAの二代目経営者ロバート・サーノフの悲劇など、どれも日本でも似たようなケースが思い浮かぶものばかりだ。
 面白いのは、成功も失敗も経営者の個性に深く結び付いているところだ。「頑固で、人の話を聞こうとしない人間」と描かれたモンゴメリー・ワードのトップ経営者、エイヴリーは第二次大戦後、恐慌が来ると信じ込み成長の機会を逃した。「経営の判断ミスを確実に回避する規則などほとんどない」という結びの一言はうなずける。結局、経営は理屈通りには動かない人間の営みだからだ。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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