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阪口 昭さんのレビュー一覧

投稿者:阪口 昭

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紙の本

紙の本経営と権力

2000/12/26 15:28

社長は権力者でなければならない。それを正しく理解し体現した社長が率いる会社のみが発展を保証される

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 かつて日本で大学の経営学部新設ラッシュが見られた頃,半ば笑い話として,しかし半ば真をうがった話として交わされた会話がある。−「経営学の先生,特に高名な学者が会社を興すと,その会社は必ずつぶれる」。実際,そんな事例を評者も2,3,見聞した覚えがある。
 経営学は実践の役に立たないと言われてきた。さすがに近年,経営学もやや改革され,実践の学へと少しは変身したようにも見えるが,この本の著者に言わせれば,とんでもない,まだなっていない,ということになる。
 この落差は一体,何によるものか。いまの経営学のどこがいけないのか。著者によれば,その理由は,例えば会社の頂点に立つ社長を論じる場合,その職務にまつわる機能的側面を平板に分析することに終始し,社長の最高権力者としての側面−全知を傾けて戦略,戦術を練って采配を振り,結果責任を一手に引き受ける−ダイナミックな人間像についての分析を軽視,ないし無視しているところにある。著者のこの視点は本の題名に「権力」の2字が付されていることに明快に表れている。評者は著者の見方に同意する。
 日本で社長は絶大な権限を持つ存在である。それは法律や規則あるいは成分化された社内ルール等によって保証されている。しかし,「権限」は実態としての「権力」と同義語ではない。実力会長とか実力相談役といった言葉が飛びかうのはそのことを物語る。
 では社長が握って行使すべき「望ましい権力」とはいかなるものか。実はこの説明は平坦には行かない。何故か。著者は言う。−社長はすべからくワンマンでなければならないが,しかし,ひとの意見に耳を傾ける謙虚さと度量を持たねばならぬ。他方,情報収集に万全を期すべきだが,決断は速やかに。時は経営者を待ってくれないのだ。−こんなふうに,相矛盾する要素を含むからだ。
 著者は大都市銀行で,秘書室長,総務部長等を経て常務にまで進み,退任後は米国と日本でいくつかの会社のトップに立った人。このキャリアは著者が実際に多くの経営者のけいがいに接し,補佐し,また自ら経営の指揮をとるという,経営者の権力を書くのにきわめてふさわしい体験を積んできたことを物語る。この本は経営者の持つべき権力の条件を多角的に,また整然と体系的に述べており,その面では教科書的とも言えるが,著者が接した経営者のエピソードが織り込まれたり,トップに立った時の自らの決断と実行を語っているあたりは,著者ならではのキャリアを示すもので,本全体にいろどりを添えている。
 著者は見聞と体験に基づく見識をもとに,権力者が陥りやすい落とし穴(保身,会社の私物化など)とそれへのチェックの有りようについて書くことも忘れない。その内容は「読んでのお楽しみ」とここでは略すが,評者にはたちまち例のそごうの経営者の姿が浮かんできたことを付け加えておく。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本

日本の経済社会を擬視すると,いま驚くべき変化の波動が透けて見える。日本の再起を保証する波動が・・・

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 バブルが崩壊したころ,日本経済の先行きについて「転落」「終焉」「超失業時代」などのどぎつい文字を題名に使ったペシミスティックな本が書店にあふれた。いまもその類の本はいっぱいあるが,同時に,日本経済は必ずよみがえる,とする楽観的な本が隣に並ぶところが以前と異なってきた。
 面白いことに,悲観と楽観の中間—可もなく不可もなく,ほどほどに進む—が見当たらない。「ほどほど」では市場価値がないから当然といってしまえばそれまでだが,それだけではなく,これまで大方の予想に反する形でシャープに盛衰の曲線を描いてきた日本経済の過去が未来に投影されているような気もしてくる。
 悲観,楽観,どちらの本にせよ,共通して言えるのは,内容と主張に誇張が多い(特に悲観)ことだ。このためなんとなく胡散(うさん)臭ささえ感じる本も稀ではない。しかし,この本に関する限り,そういう要素は全くない。まとも過ぎるほどまともな本だ。
 この本の強みは,膨大なデータ—数値から固有名詞をもった経営者や企業の小話に至るまで—を検証し,整理し,分析し,それをもとに日本の経済社会をおおっている大小さまざまな変化の波を描いていることで,その波の姿自体,ドラマチックで面白い。
 変化の諸相を描く著者(3人)のアングル—変化は下(消費者)から起きている,変化の様相を日本人全体として一様にとらえるべきでなく,各部分(年代,階層など)ごとに見るべきだ,など—は的確だ。また,しきりに強調している,日本はアジアにおける流行の発信源であり,欧米企業でアジア進出を目指すなら日本を登竜門とせよ,との見解もなるほどと合点できる。
 最後に一言。この本の訳者5人のうち4人は大学学部在籍学生。訳文は滑らかで,よどみない。嬉しくなった。
(C) ブッククレビュー社 2000

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