瀧澤崇子 さんのレビュー一覧
投稿者:瀧澤崇子
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紙の本花との時間
2000/11/20 15:06
10月7日今日のおすすめ書評
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この美しい季節に
イチョウが色づいた。空が高くなった。風が心地よくなった。
通勤や買い物の途中で誰もがふと気づく季節の移り変わり。無意識のうちに感じるこの「あっ」という一瞬を花の世界でみつけ、写真に焼き付けたのがこの本である。ヒヤシンス、チューリップ、クレマチス、バラ、ヒマワリ、クリスマスローズ、アマリリスなど、12種類の花々が他の花とアレンジメントされ、輝く一瞬が著者からのメッセージとともに収められている。
あるものは明るい夏の陽光を浴びて、あるものは窓辺の柔らかい日差しのなかで、またあるものは風に揺れ動く庭の片隅で。
どちかといえば派手さはなく、シンプルな写真であるが、それゆえにそれぞれの花々が持つ本来のやさしさや柔らかさ、性格がもっとも良く似合う形で捉えられている。また、意外な一面も見ることができる。ひまわりは、はつらつさやにぎやかさを演出する夏の花の代表選手。照りつける太陽の下が似合う花だと思うが、涼やかな秋にも合い、夏の元気を無くしつつある我々にエネルギーを与えてくれる花なのだということをこの本から感じ取れるのだ。花の不思議なパワーが上手に引き出されているとでも言おうか。
また、水彩画や油絵、最近はやりのトールペイントなどの絵を描く人たちにも参考になる本である。いちまい一枚の花びらが作る陰影が見事に閉じ込められ、花びらの硬さや手触りが伝わってくるようである。
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