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加藤 出さんのレビュー一覧

投稿者:加藤 出

2 件中 1 件~ 2 件を表示

数々の“伝説”を持つ全米トレーディング・コンテストのチャンピオン・トレーダーの内面を描く

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 J・D・シュワッガーの「マーケットの魔術師」(80年代のトップ・トレーダーをインタビューした当時のベストセラー)にマーティン・シュワルツは“チャンピオン・トレーダー”として登場している。その短いインタビューからも彼のカリスマ性は十分に伝わってくるが,その複雑な内面までは読み取ることはできなかった。
 その点,本書は彼の有名な数々の逸話(証券アナリスト時代の逆境や,湾岸戦争での記録的な利益,ヘッジファンドの設立と精算など)が丹念に語られている。彼のピットブル(闘犬)ぶりは全米トレーディング・コンテストに顕著に現れている。ライバルに対し「これはもう戦争だ!」「誰が来ても勝ってみせる」と露骨に敵意を見せ,4カ月間で254.9%のリターンを挙げて優勝する。さらに翌年のコンテストでは443.7%という驚異的な利回りで連続優勝を果たし一躍全米にその名を知らしめた(彼に牙を向けられた競争相手のトレーダーはストレスから心臓発作で亡くなっている)。
 一方で,シュワルツは1927年の大恐慌で辛酸を舐めた父親の記憶が影響してか,金融システムに対する疑念が極めて強い。1982年のメキシコ債務危機や1987年のブラックマンデーの際には銀行閉鎖を恐れて「家族を守るために」預金や貸し金庫に預けてある大量の金貨を必死になって引き出している。ピットブルと呼ばれるほどの攻撃的な人物でありながら,時にリスクに対しては異常なまでの警戒心を露にするという極端な二面性を持つ人格が描かれている点が本書の最大の魅力である。
 巻末には個人投資家の興味に答えるべく「シュワルツの売買テクニック」が掲載されている。「私はボクシングで言うところのジャブを多用するタイプのトレーダーである。ノックアウトパンチは打てないが,その半面,ノックアウトされないようにしている」など,示唆に富むフレーズが多く含まれている。
(C) ブッククレビュー社 2000

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130年の歴史をリアルに表現。ルービン前財務長官を輩出した独自の企業文化が見えてくる

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書を手にした時に感じた興味は次の2点だった。(1)金融市場からの評価がきわめて高かったルービン前財務長官はゴールドマン・サックスの出身である。財務長官を輩出する企業文化とはどのようなものなのか?(2)ガルブレイスの名著「大恐慌」は,ゴールドマン・サックスを1920年代のウォール街のユーフォリアを具現化した代表的な企業として取り上げている。同時に,株価のクラッシュとともに同社が大きく傷ついていく様子も描いている。
 だが,現代においてゴールドマン・サックスは誰もが認める世界屈指の名門インベストメント・バンクである。このいちじるしいギャップは何なのか? ゴールドマン・サックスは,その経営形態が非公開のパートナーシップ制であったがゆえに,これまで神秘のベールに包まれていた感がある。しかし,本書の著者はゴールドマンサックスにバイスプレジデントとして実際に勤務していた元為替トレーダーであり,同社の130年の歴史を丹念かつリアルに表現している。本書の英語の副題は「The Culture of Success」。現在の成功に至る独自の企業文化の系譜が描かれ,冒頭の評者の興味に十分に答えてくれた。
 1929年の大暴落だけでなく,ペンセントラル倒産事件,共同経営者によるインサイダー取引疑惑など同社はこれまで幾度も深刻な経営問題に遭遇してきているが,そのたびに「顧客第一主義」の理念を再確認しながら新たなリスクを果敢にとって乗り切ってきている。その過程はスリリングでさえある。
 なお,インベストメント・バンクの内幕本としては,80年代のソロモン・ブラザーズを描写した「ライアーズ・ポーカー」(マイケル・ルイス,角川書店)が有名である。これと比較しながら本書を読むと(マイケル・ルイスに比べ本書の著者の視線は素直過ぎるきらいもあるが)ゴールドマン・サックスの企業文化の特徴がより際立ってくると思われる。
(C) ブックレビュー社 2000

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