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山形浩生さんのレビュー一覧

投稿者:山形浩生

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自由を具体的に示してくれる希有な本。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 世の中には、だれもコントロールしていないからこそ価値のあるものが存在する。たとえば公園。そこでは、いろんな人が好きなことをやっていい。いやもちろん、なんでもやっていいわけじゃない。公園でやっちゃいけないことはたくさんあって、実はコントロールはされている。でも、少なくともそのコントロールは平等だ。あるいは道路。道路の上で、人はいろんなことができる。有料道路ではもちろん、料金を払わないと使えないという制約はある。それでも、その料金のかかりかたは事前に決まっていて公平だ。そういう、だれでも使えるリソースが『コモンズ』だ。そして、それがいろんなところで、人の創造性に貢献しているのだ、とレッシグは本書で主張する。
 そういう「コモンズ」的な、コントロールできない部分はあちこちにある。本を買えば、人に貸せるし、コピーもできる。音楽だってある程度貸し借りはできる。そしてそれがあることで、人は新しい本に触れたり新しい音楽に接したりできる。また、それを使って新しい作品を作ったりもできる。
 ところが現在、それが至る所でせばめられようとしている。そしてそれは、法規制とともに、テクノロジーによってせばめられている。この本の原著の電子ブック版は、部分コピーも印刷も読み上げもできなかった。紙版はできるのに。著作権の期間もやたらに延長されようとしている。そしてみんなが自由に使えることに価値があったインターネットは、どんどん技術的にも法規制上も不自由になりつつある。ソフトウェア特許でいろんな画像や音楽が使えなくなったり。あるいはブロードバンドプロバイダが、コンテンツに規制をかけるようになったり。そして無線周波数の競売が、自由な周波数帯の活用をじゃましたり。
 そうやって、技術と法と市場の連携で自由がせばまり、人々の創造力が減退するのを放置してはいけない、と本書は主張する。そのためには、法も技術の関係を理解し、そして何よりも自由の価値をいまいちど再認識しよう、と本書は主張する。
 本書は、自由というものの価値を直接示そうとする。自由というのが、抽象的なものじゃなくて、具体的な形で各地にあり、それが人々の役にたっていたことを示してくれる。ぼくたちがいろんな局面で譲り渡すちょっとした自由——それが実は、大きな意味を持っていて、だからそう簡単にはゆずってはいけないものだということも示してくれる。ぼくは、これほど明確で具体的なな自由擁護論をこれまで読んだことはない。みなさんも、本書を一読して、もう一度自由というものを具体的に理解し直していただければ、と思う。そしてそれを守るために具体的に何ができるのかも。

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