S&Gさんのレビュー一覧
投稿者:S&G
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紙の本水曜の朝、午前三時
2005/06/15 00:17
考えようによっては幸せなラブストーリー。でも泣けます。
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「もしあの人と結ばれていたら・・・・」人は誰でも一度くらいそう考えたことがあるでしょう。人生にifはなく、実際にかなわない事とだからこそ、思い出はいつも美しいまま残るのかもしれない。
訳あって別れたものの、もし結婚していたら身に降りかかってきたであろう様々な苦難を経験する事もなく、暮れのひと時だけとは言え、毎年最愛の人と出会える幸せ。こちらの方が、ある意味ずっと甘美な人生なのではと思います。本書は、考えようによってはとても幸せなラブストーリーです。
もし、真実を鳴海さんからでなく、臼井さんか成美さんから直接うちあけられていたら。もし、鳴海さんと会った後臼井さんに電話したとき、彼の口から説明が聞けたら、彼女の心は違ったものとなったでしょう。でも、結局どちらが良かったなんて誰にも分からないのでは。
こうした事は別にしても、この小説のかもしだす切なさは特筆ものです。まさに珠玉のラブストーリーです。主人公の淡々とした語り口が、読者の心に染み入ってくるようで、かなり泣けます。私が一番好きな場面は、直美が臼井さんのアパートを尋ね当てた後、再会を果たし、その後下鴨神社で初めてのデートをするシーンで、まるで彼女の心の震えが聞こえてきそうです。
ところで、題名はS&Gにちなんでつけたものだと思いますが、成美の命日と関係あるのでしょうか。しがない大学院生だった臼井が新車を持ち、かなり金回りが良かった本当の理由は何なんでしょうか。誰か知っていたら教えてください。
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