オクヤマメfグミさんのレビュー一覧
投稿者:オクヤマメfグミ
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紙の本人のセックスを笑うな
2006/08/12 21:48
たどたどしいけど、笑うなんてできない
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第41回文藝賞発表の記事を目にした時も、そして実際に本を手に取った時も、駄洒落のような筆名とタイトルに
『中身も軽いんだろうな…。』なんて失礼ながら思ってしまった。
確かに印象的なタイトルであるけれど、それを裏付けるような中身があるのかと。
そう疑っていた私は一体何者なのだろう?恥ずかしい…。
ストーリーは、美術系の専門学校で講師と生徒として出会った二人の恋愛である。
その歳の差、なんと20歳!!そんなの成立するのか?
しかし作中に描かれる講師の彼女・ユリはちっとも老けていないし
年齢を感じさせない。
それは彼女に恋する彼の視点で描かれているからかもしれないが。
彼の純粋な恋心が熱い。行き先の分からない情熱が伝わってくる。
39歳という年の離れた女が、彼の中では「かわいい女の子」なのだ。それって何だか羨ましい…。
ただ愛しいという気持ちだけで突っ走れる強さ。
彼はとても真っ直ぐなひとだ。
ユリへの想いが綴られた箇所が胸に残る。
『好きになると、その形に心がくい込む』
そのままの相手を好きになってしまう。自分のほうがのめりこむのだ。
『寂しいから誰かに触りたいなんて、ばかだ』
欲望に流されがちな年齢なのに、冷静に触る理由を考えていたりする。
本書には真剣な恋心がびっしりと描かれていて、確かに文章は拙いかもしれないけど、そのまま彼の言葉のようで熱く伝わってくる。
特別なことなんて思いださないのに、恋心が痛い。
読み終えて初めて、タイトルが彼の台詞となって
『笑うな』
と私に言い放った気がした。
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