ネモ船長さんのレビュー一覧
投稿者:ネモ船長
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2006/04/15 22:08
マオ
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本の内容は、マオ(毛沢東)の残忍で、自己中心的な生き方をつづり、それを非難しているもののように思える。
しかし、よくよく考えてみると、恐ろしいのは、マオの生き方が否定されていないことである。確かに、現中華人民共和国政府は、マオの後継者として、マオを神聖視(一部間違いがあったことは認めても)している。これは、後継政権が利用するためと私は思っていたが、それだけではないことに、本書により気がつかされた。マオが一次失脚したり、最終的に(マオに比較すると正義の味方のように思える)鄧小平が背くのも、マオのやり方を”間違っている”と考えたからと言うより、”ひどすぎる”と考えたと言う方が正しいと感じられた。事実、本書を通じて、政権担当者(少なくとも中国共産党政権は)は、マオの権力維持等の方法自体を否定してはいない。権力の対立者としてか、あまりにひどすぎる(劉少奇等)からと対立しているのである。つまり、恐怖による権力維持など政権運営の基本的考えは、政権側の人間は誰も否定していないのである。もう昔話のようになった「天安門事件」、最近起こった「反日デモ」、外交官の謀略行為に抗しての自殺、一部中国進出企業の悲惨な結果等々、その官制謀略を言われながら、日本のマスコミや一部政治家は素知らぬふりをしてきれい事を並べ立てるが、実態はそんなものでないことをはっきり感じさせられた。尖閣諸島や海洋資源問題等あんな甘っちょろいきれい事では、日本は食い物にされ、ずたずたにされるだけである。戦前の日本において、侵略国家という見方もあるが、必死に国の独立を守ろうとしたと言う味方もあるが、今はその方が正しい味方ではと思えるようになった。同様の政権運営をしている北朝鮮に対する拉致問題や核問題等も同様に全力で高じなければ、日本の将来は危ういであろう。
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