坂道脇の住人さんのレビュー一覧
投稿者:坂道脇の住人
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2005/02/23 00:55
坂道の美学
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タモリさんは幼い頃、坂道を下ったところにある幼稚園を見学して、お遊技の余りの馬鹿馬鹿しさに呆れてしまい幼稚園には行かなかったそうだ。
私が幼児の頃、住んでた街でも、ぐるぐると曲った坂道を下ると幼稚園があって、そこにはマリア様の像とか、黒くて長いドレスを着た外国人の神父さんが居て、家の周りとは全然違っていて、子供ながら大層憧れてしまい、早く幼稚園に行きたかった事を憶えている。でも入園直前に引っ越してしまい、坂道の下の幼稚園は幻になってしまった。
けれど、その後も坂道に住む事が多かった。大人になって引っ越し先を選ぶ時は、意図的に坂道の側を選んだと言っても良いくらいだ。
今住んでいる所も坂道の脇で旧街道に面していて、緩いカーブがあって大きなお屋敷には竹林と大きな樹木が印象的だった。その道だけは夏でも涼しい陰が落ち、中々情緒があったものだ。坂道の名前も江戸時代についた物で、毎日昇り降りする坂道に、私はすぐに愛着を持った。
越して来て3年が経過したが、お屋敷はマンションになり、坂道は道幅を拡張してしまい、以前のような緩いカーブのある小道ではなくなってしまった。元々、人の多く住んでいる街なので、仕方のない事実なのだろう。以前は存在した緩いカーブをした坂道は、思い出すだけの存在しない道となった。そして私も引っ越す事になった。風情のあった坂道では無くなったとは言え、愛着を感じてた日常だ。やはり離れるのは寂しい。
せめて、次にに住むところも、やっぱり坂道がいいと思った。坂道の魅力はクセになってしまうのだ。
本書は「東京一週間」という若者向けの情報誌に連載していたので、ガイドマップや食事スポットも載っている。実際に訪れるのに、坂道だけ歩いて去るのも味気ないだろうから、お店の情報なんかは、実に役立つ事だろう。
ちなみに、タモリさんは中々センスのある方で、掲載されてる写真も御自身で撮影されてます。
本書に載っている中で、私が気に入ってる場所は、暗闇坂と高輪周辺です。
あなたも是非、自分だけの素敵な坂道をを見つけて下さい。
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