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りこのりこさんのレビュー一覧

投稿者:りこのりこ

13 件中 1 件~ 13 件を表示

紙の本家守綺譚

2008/06/06 02:05

リアリティ溢れる、摩訶ふしぎ

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ハンパじゃない知識が、あり得ない世界を描ききる。豊かな想像力と言語力を駆使した描写が、摩訶ふしぎな登場人物(?)たちに不思議なリアリティを与えている。その怪談めいた世界が、実におもしろたのし。

 かけ出しの物書き綿貫征四郎は、亡き親友の実家の家守を頼まれた。二つ返事で引き受けその家に赴くと、庭には植物が栄耀栄華を極めている。その晩、床の間の掛け軸から湖で亡くなった高堂がやってくる。「どうした高堂。逝ってしまったのではなかったのか」「なに、雨に紛れて漕いできたのだ。・・・サルスベリのやつが、おまえに懸想している」と。

 サルスベリからはじまって、白木蓮、南蛮ギセルにセツブンソウ、桜から葡萄まで全28章、植物の名前がずらりと並ぶ。植物好きにはたまらない、知らないものには目から鱗。植物と関わるのは、和尚、隣のおかみさんから長虫屋にどこぞの姫と、狸、サルにカワウソ・・・夢か現か幻か。

 野良犬ゴローも加わって、あの世この世が交差して話は進み、一時も飽きさせることがない。28の短編は、ひとつひとつも充分面白いが、全部でひとつの物語、親友高堂に関わる長編を構成している。そして、一気にクライマックスへ。総てをあるがままに受け入れてきた綿貫が、葡萄を前に言い放ったひとこととは。梨木香歩の古式豊かな日本語が絶品。

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紙の本りかさん

2008/06/01 02:30

人形を通してみつめる、生きるということ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

美しい日本語で語られる豊かな表現。人形によって繰り広げられるファンタジーの世界が素晴らしい。人形に問われる、生きるとは。

由緒ある段飾りの雛人形。下段には、様々なお人形が鎮座している。人形達は、持ち主の過去を背負って苦しんでもいる。「・・・人形のほんとうの使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとことん整理してあげることにある。」と、ようこのおばあちゃん。

ひな祭りに、リカちゃん人形が欲しかったようこの元に届いたのは、市松模様の振り袖の抱き人形りかさんだった。りかさんは不思議な力を持ついい人形。代々愛されて大事にされてきたからだそうだ。序章ともいえる1章は、養子冠之巻。2章はアビゲイル之巻。

1章は、りかさんとようことの出会いと、人間の愛憎を吸い取って苦しんでいる雛人形たちの話。代々つたわる雛人形には嫁姑の問題など愛憎がからみやすい。原因を突き止め解決に導くことで、人形に隠蔽されてきた憎しみや悲しみも浄化する。りかさんにはそれがわかる。ようこはそのことばを理解することができる。こんな不思議を納得させてしまう、妙な説得力がここにはあるのだ。

2章のアビゲイルの巻は、壮絶なお人形の物語だ。日米親善使節団としてきた人形のアビゲイルが黒焦げになってひな壇のしたに隠されていた。何故、どうしてそんな酷い姿で。涙でぐしょぐしょになりながら、一気に読まずにはいられなかった。アビゲイルの悲しみを恨みを荒い流すことはできるのか。切なくて哀しくて、アビゲイルを抱き締めてあげたいと思うことだろう。

この本が伏線になって、次の物語「からくりからくさ」がはじまる。それぞれに面白い物語が、更に重層な物語へと発展していく。「りかさん」を先に読んだ人には続き物として、「からくりからくさ」から読んだ人には謎解きとして、どちらから読んでも落胆することはないだろう。見事な構成の傑作!


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意表をつく展開、鮮烈な色使い、だれにとっても忘れられない一冊に。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 アメリカ・インディアンに、とうもろこしが伝わった訳。絵本を開くと、タイトルの下に朱色の毛がのぞく大きな緑色のとうもろこしが一本。とうもろこしの中にはおばあさんが眠っている。とても不思議な物語が、異国情緒たっぷりの絵で語られる。

 ひとりのおばあさんが、インディアンの村々を訪れては、「ここにひとばんとめてくださらんか」と頼んだ。どこに行っても断られてばかり、とうとうアリゲーターという小さな村にやってきた。そこの若者は、「どうぞどうぞ、好きなだけいてください」とテントに招き入れたのだった。

 そこから、おばあさんの不思議がはじまる。男たちが狩りに、女たちが芋ほりにでかけていくと、おばあさんはみたこともないパンを作って子供たちを喜ばせた。帰ってきたおとなたちにもパンが振舞われ、「これはとうもろこしという物だ」と聞かされる。おばあさんは、どうやってとうもろこしを手に入れたのか。
 ある日、若者は狩りに行くふりをして、こっそり中を覗いてしまう。あまりのオドロキに、パンを食べることができなくなった若者。子どもたちにとっても、それはあまりに衝撃的。
 ここからが、クライマックス。若者はおばあさんを信じて、言われたままに総てをやり通した。そして約束の日、平原に走った彼が見たものは、一面に広がる緑の草。そして、そこには・・・。

 意表をつくお話の展開が、原色の色づかいで、子供たちを、異国、アメリカ・インディアンの世界にくぎづけにする。緑と黄と朱色が鮮烈。コワオモシロい世界は、強烈に子どもの心を惹き付けることだろう。誰にとっても忘れられない一冊に。

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商人の心意気が憎いじゃないか。汗と涙と勇気と知恵と。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 中坊という人についてはあまり知らなかった(失礼!)千日デパートの火災はニュースで観た。たくさんの人がビルから豆粒のようにこぼれ落ちて亡くなって、廃墟になった焼け焦げた建物はいつまでも無気味に建っていた。火災発生から18年6ヶ月、裁判の凄まじさを淡々と語ることばひとつひとつに釘付けになって、一気に読まずにはいられなかった。
 著者は、「はじめに」で、商人の三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)ということを説いている。商人だけでなく、日本人の一人ひとりが「自立」「自律」「連帯」から離れてエゴが存在するのが当たり前になっていると今の社会を憂いている。この千日デパートの訴訟で小さな商人たち35人が大企業のエゴに勝てたのは、この三つが見事に発揮されたからだという。
 中坊弁護士本人は一人称で語らない。「中坊は考えた」「中坊もまた甘い期待を抱いていた」というふうに第三者的に書かれている。そこがいい。自分をも客観視して、総ての事実だけが裁判の流れに沿って記載されているので、読み手も現実を現実としてすんなり受け入れられる。事実を積み上げ大企業のシンジツを突き崩していく、裁判の全容が実によく見えてくる。とてもわかりやすい。
 読み進むうち、損得だけでなく弱者を守りたいという弁護士の正義が見えてくる。弁護士たちをそんな気にさせた商店主の心意気がまた憎いじゃないか。どうせ勝てないと勝負を捨てがちな負け犬根性を切り捨てて、立ち向かっていく個人商店主35人。諦めないで力を合わせて頑張れば何とかなる、そんな希望の光をみせてくれる。
 金と力に物を言わせて安く売る、そんな量販店にばっかり行ってるんじゃあ、昔ながらの商店街を残して欲しいなんていえないね。「自立」「自律」「連帯」の心で、ちょっと高めかもしれないけど、小さな商店に行こう。そんな買い手の心意気で、商人の三方よしに応えなくちゃね。

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いい教師に出会った時のように、この講座はワクワクする

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

市民ライター、デジタルライターと続けば、パソコンで密かに書き綴って楽しんでいる者には、無視しては通れない。だから私は、一目見るなりさっと求めて誰よりも早く(ホント?)手中に収めた。
マーカーのチェックも忘れて一気に読む。理念編も技術編も、歯切れのいい文・切り口の上手さでぐいぐい読ませる。前半の、ネット社会やメディアの現状分析や、著者のライター人生も絡めて語る「市民、市民社会、市民ライターとは何ぞや」というくだりはなかなか興味深い。
技術アップが先決緊急課題のひとは、後半、第四講「市民ライター」技術講座から読み始めてもいい。文章の書き方だけの本じゃない。ライターの実践講座でもある。取材、インタビュー、リライト、タイトル、テーマ選びやキャッチフレーズから詳細な文法に至るまで30項目、「書く」ノウハウが一つ一つそりゃあ分かりやすく手に取るように説明してある。さらに第五講の「市民ライター文章十則」ではコツとかツボとかをまとめてあって、読み手が使いやすいように工夫されている。
いい教師に出会った時のように、このライター講座はワクワクする。第六講は「自分発」のメディアを作ってみよう! ここまで読み進むと書きたくなる。ライティングのコツがいっぱいのこの本は、こっそり技術を磨いて、「書くこと」による社会参加・情報発信をしたいひとにうってつけ。もちろん、一味違うキラッと光る文章を書きたいから、私もこの本をこっそり読んでいるひとりだ。

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これはおとなの絵本だ。そして父が子どもに語り聞かせる本。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 秋野亥左牟は、この詩に惚れこんだ。アメリカ・インディアンの詩。訳詩が素晴らしい。それに惚れて描いた画家の絵が息をする。ときに躍動し静止し、荘厳に華やかに優しく魂を揺さぶる。全霊をかけた絵がひとつひとつの詩に呼応して、インディアンの魂の詩を高らかに、静かに歌う。
 ペンの一筋一筋が心を打つモノトーンの細密画。インディアンが空を翔る。黒い蛇が歌いながら旅をする。光り輝く角をもつ鹿。走る小路のまんなかで、吹く風のまんなかで休んでいる岩。寡黙なのに多くを語るモノトーン。
 そして独特の色遣いが踊る彩色画には、光と風と匂いが溢れる。縞瑪瑙のような蹄をもつ、トルコ石の女から生まれた神馬の歌。たてがみをそよがせているこんなに神秘的な馬を私は知らない。緑が青が橙が異国情緒を醸しだす。なんという世界だろう。
 私はこの本を誰にもゆずれない。魅せられてしまったから。でも子どもたちにだけは、1頁ずつそっと開いて、読んで聞かせよう。そして機会があれば、秋野亥左牟の原画展に連れて行こう。ペン先の紙を擦る音が聞こえる緻密に描かれた絵から、狼の毛並みや梟の羽の手触りを感じることだろう。異国で培われた独特の色に心奪われるだろう。彼の絵の前で立ち尽くしていた私のように。
 「おれは歌だ おれはここを歩く」アメリカ・インディアンの鼓動がきこえる。胸が熱くなって、涙がこみ上げてくる絵本だ。

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現役には書けなかった現役だから書ける本!第四章を読めば、エールを送りたくなる

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 老いも若きも、関係者にもアウトサイダーにも、現役職員にも就職を考えているひとにも読んで欲しい。市役所は、その地域に生活しているひと総てにとって関係があるところだから。ムカつくことがあっても無関係ではいられません。
 現役職員が何言ってんだかと、まあ興味半分でぱらぱらとめくってみました。
 第一章で挫折?漢字は多いし硬そうだし……実は一章が一番とっつきにくかった!だから、後回しがいいかもしれません。ここで面白かったのは、国と地方の財政をAさんとBさんの家計になぞらえちゃったこと。これはわかりやすい。それから、説明が丁寧なので、「三位一体の改革」とはなんぞや?なんてことでも頭にすんなり入ってきました。資料や図表がちょっと有りすぎって気がしないでもないけど、正しく伝えたいという真摯な熱意はわかります。この生真面目さは、ある意味、著者の公務員らしい気質の表れかも。随所に、本人の意識してない公務員っぽさと、それを否定しようするせめぎがみられるのも面白いです。
 変わろうとする意気込みは第二章・三章でも貫かれ、市職員の採用、待遇から何でもかんでも、すべての情報開示を試みているのには驚かされます。現役だからできるが、現役には出来なかったこと。名前を公表して書こうという覚悟の程が伺えます。資料の多さは半端じゃない。市役所職員のハンドブックとしても充分通用するんじゃないでしょうか。
 私が気に入ったのは、なんといっても第四章「人事担当の目」。現役市役所人事担当の著者が冷静に自分の職場をみつめ、自分をさらけだして切々と語ることばには、心打つものがあります。仕事への誇りと熱い思い。いろんな面から職場の現状を厳しい目で分析し、これからの職員像を具体的に示しています。困った上司、役に立たない同僚のパターン別一覧表は笑えました。うちにもこんな人いるよって、顔が浮かんできちゃうんですから。
 全編に「市役所の改革はぼくらが自ら変わるしかないんだ」という信念と決意が流れていて好感が持てます。ただ、市民としては、最後の一文はこんな風に言いかえて欲しい気がしました。間違いなく当事者のひとりなのですから。
市役所職員よ、危機感を持とう。
  市役所職員よ、誇りと自信を持とう。
  市役所職員よ、自ら学び、自ら考えよう。
  ぼくらが変われば、内部から市役所が変わる。
 この本は、市役所職員だけでなく、多くの公務員にとって必携の書だと思います。一般人(私みたいな)にも面白くためになる、近頃珍しい正道をいく硬派な本です。

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アートってなんだろう。絵を感じる心をはぐくむ絵本

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

画家であり作家でもある著者、上矢 津の視点はとてもユニークだ。スイング氏と呼ばれている芸術家とその家のねこのアーティスト。名前の由来も楽しい。スイング氏の芸術は歌っている。体もうたっているんだって。その、世間で言うわからない絵の上をどろ足で歩いたねこ……アーティスト。
ページをめくるたびにわくわくする。様ざまな絵にあえる喜び。次はどんな絵かな。繊細な色使い、リズム感あふれる形、線や点の魔術。スイング氏の留守のアトリエで、案内してくれるねこのアーティストの素朴なつぶやきが、冴えた切り口で心に残る。アートってなんだろう。アーティストってだれのこと? 最後まで読んだら、いや、ながめたらといおう、絵がとても身近で楽しいことに気がつくと思う。なんだか絵が描いてみたくなる。
一筆書きのようにさらりと描かれたねこが、とっても愛らしい。後姿がとくにいい。
こどもたちと一緒に開いて欲しい絵本です。もしかしたら、この絵本に出会ったことで人生が変わるかもしれません。世界が広がって、見えないものまで見えてきたら、誰だってアーティスト!

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「憲法改正・国民投票」って、ナント日本国民の初体験!この本があればちゃんとできると思う。

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本の優れているところは、とっつき易くて、とってもわかりやすいところ。恐る恐る開けてみれば、マンガ入りのビジュアルで解説してくれているから、マジ、筆者のいうように初心者でも大丈夫ナノダ。
憲法が改正されたら、生活がどう変わるのか、国際関係にどんな影響が起きるのか、どんな未来が想定されるのか? 国民投票は国民がするものなのに、でも、現実問題、実はよくわからない。これでは、政治プロ集団にごまかされてしまう。そこで、この本なのだ。「国民投票ってなに?」「改憲派って?護憲派って?」「明文改憲?解釈改憲だって?」わかったような気がするけど、実はよくわからないってことが、しっかりわかっちゃう。
憲法改正の動きが加速化していて、自民党は年内に、民主党も来年中には憲法改正案を作ると表明しているそうだ。そこで、いまのプロ政治家集団の思惑はなんだ?って考えると思う。凄いノダ。各党の考えをバッチリ比較・分析できる。衆議院憲法調査会会長の中山太郎とか社会民主党、自民党、民主党、公明党、自民党ら各党の憲法関係者が一同に会してのパネルディスカッション、しかも市民の前での公開討論会、それがそのまま収録されて載っている。(写真入だから全員の名前も顔もばっちりわかる)じっくり読んで、どこがまやかし臭いか真実か正義か……読み解く面白さもありダ。
最終章は「9条改憲どうなる?こうなる? 国民投票シミュレーション」村上美智子さんのイラストがめちゃめちゃ楽しくって笑える。筆者の解説もわかりやすくってここが一番のオススメかも。
「憲法改正・国民投票」なんてはじめての経験だから、私はちゃんとやりたい。ホンのひとにぎりの政治プロに任せっぱなしにしたくないのだ。だって、生きているうちに一度あるかないかのことで、父母も祖父母も……もやったことがない。熟慮して一票いれたと胸を張りたいわけ。なんのこっちゃかよくわからなかったから適当にとか、まして、わからないからパス(棄権)したなんて言いたくない。のちのち子どもや孫やひ孫の教科書に「憲法改正当時の国民は、ひとにぎりの政治プロに踊らされることなく、民主主義にのっとって熟慮し、国民投票によって国の平和憲法を守ったのである」とか書かれたい、それが国民主権ってもんだよ、なんていいたい人にはオススメ必読の書だ。

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生き方を変えたいのなら、この本を読んでからでもソンはない!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

生き方を考えたい人には、最上の本ではないだろうか。もちろん、悩みぬいて地道に生きるのもいい、がむしゃらに突き進もうと構わない。でも、もし、やりたいことをして楽しくカッコよく生きたいと思うなら、この本は力になるだろう。
「タウン誌をつくりたい!」この一念で、ナント無一文から年商6億! これだけで十分カッコいいのに、今度は、あっさり手放してしまったのだから、もの凄くカッコいい奴なのだ。メディアにも起業にも、金儲けにも市民活動にも関心がない人にとっても、この本のもつ意味は変わらない。これはノウハウ本ではない。この本が魅力的で面白いのは、全編を通して明快なことばで語られる、筆者のポリシーの力強さではないだろうか。

「何となく歩くのと、100キロ先まで歩くと決めて歩き出すのでは、結果は違ってくる」。その結果、タウン誌「あわわ」は大成功した。
「市民活動は、カッコよくおしゃれに、気楽にやりたい」で始めた住民投票・選挙活動も、市民の共感を得て破格の展開をした。
「愛してる」の反対は「嫌い」ではなく「無関心」である。「関心がない」ということは、その存在さえ認めないということだ」。棄権は反対の意思表示にはならないということだろう。本当に、宝物にしたいことばは山ほどある。

一貫した姿勢と生き様に裏打ちされた彼のことばは、どれも人間の根本にかかわっているので、読み手の立場とか環境とか夢とかにかかわらず、いつでも自分に引き寄せてみることができる。最後に、筆者がここだけは絶対読んでという、6章の「県と徳島新聞社からの圧力」を読み忘れないようにしよう。権力は腐敗する。権力と圧力に屈しないには、みんなが「スイミー」になるしかない。小さな魚も集まれば…です。ここはしっかり押さえておきたい。

この本を読み終わると、元気になる。「人生一度きりなのだから、どんな圧力にだって屈しないで、やりたいことをやる。『好き』に理由はいらない」ということで、私はカッコよくオシャレに生きたいと思うのだ。

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紙の本あすはたのしいクリスマス

2004/11/20 14:48

語りきかせてください。100年以上たってもなお愛されつづける詩。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

原題は「The Night Before Christmas」(クリスマスの前の晩)。1823年新聞に発表されてからずーっと愛されつづけているムーアの詩と、キルト模様で縁取られたパオラ独特の絵が、旧き良き時代のアメリカの温かさと素朴さを感じさせる格調ある絵本です。それにしても、まるまるふとったサンタクロースのかわいいこと。この詩のイメージが現在のサンタの姿に反映されているそうなのですが、こんな風にはじまります。 
——クリスマスの まえのばん、
   いえじゅう すっかり しんとして 
  ネズミいっぴき あばれない——
みんながぐっすり眠っているとき、雪の上をトナカイがひっぱるそりに乗って、サンタがかけ声かけてやってきます。
——「それ、ダッシャー、それ、ダンサー!
    それ、プランサー、それ、ヴィクスン!
   はしれ、コメット、キューピッド!
    はしれ、ドンダー、ブリッツェン!」
8頭のトナカイには素敵な名前。声をだして呼んでみたくなります。
屋根の上のカタカタなる音に目を覚まし、とうさんとかあさんがそっとサンタをのぞいています。
——めは きらきらと ほしみたい
    えくぼは ようきで たのしそう!
  ほっぺは まるで バラのはな
    はなは ポツンと さくらんぼ
ここで語られるサンタの姿をそうぞうしてみてください。しぐさもとっても
愛らしいんですよ。
かなせき・ひさおの日本語訳が、原詩のよさを損なわないで、リズム感あふれるものとなっているのがうれしい。だから、声をだして読んでください。
クリスマスの前の晩のひそやかな興奮が、ちょっぴり胸を熱くしませんか?

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紙の本ノンタン!サンタクロースだよ

2004/11/19 02:13

なぜこの本が子供に愛されるのか—知りたくない?

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 強烈な色彩と絵が、お母さんの好みでなかったとしても、一度開いてみませんか? 多分、どうして子供たちが好きなのかちょっとわかると思います。
4ページにわたる夢いっぱいのサンタたち。どのサンタが好きですか?

「ぼく、クリスマス プレゼントに、あかいじどうしゃ ほしいな。」
ノンタンはくつした片手ににっこにこの笑顔で、サンタさんにたのみに行くのです。ところが、サンタさんは、
「ホホホホ ホーイ。わしゃ うさぎサンタだから、ねこの プレゼントは もってないよ。」うさぎサンタにも、くまサンタにもことわられてがっくりのノンタンは、ねこサンタを探しにいきます。
 あらまあ、空はサンタでいっぱい! パンダサンタにかめサンタ、わにサンタにぞうサンタ、きんぎょサンタやはちサンタ……動物サンタや昆虫サンタが30種類? 40? いやいやもっともっと? ながめているだけで、心うきうき。だってこんなサンタ見たことない。子供だって大人だって釘付けになります。
さがし疲れて眠ったノンタン。来ました! ねこサンタ! なんて素敵な笑顔でしょう。クリスマスの朝は「にこにこ いいな。メリークリスマス!」
 少し汚れたけれど、いまも子供たちの大好きな絵本。こんなにかわいいサンタたちに出会ったら、きっと微笑んでしまいますよ。作者の優しいまなざしを感じます。 

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紙の本森はだれがつくったのだろう?

2004/11/17 18:22

どきどきするような森の物語。たくさんの知識が心を豊かにします

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「どの森も、最初からそこにあったわけじゃない」とジャスパソンはいいます。森は成長する……どんな風に? 生まれたときは? だれが森をつくったのだろう? どきどきするような森の物語。
 マサチューセッツの広葉樹林ができるまでには、200年が必要だった。美しいモノクロの緻密な線画は、生き生きと自然を映しだします。
 去っていった開拓農家の畑にタネをおとした小鳥。タネは芽をだし草むらに春の花々。春が何度も過ぎて……ブラックベリーをついばむネコマネドリ。地中のウッドチャックやモグラ、彼らを食べに来るヘビ。やがて、タカやフクロウが空を舞い……そして……。アメリカシロマツのタネが運ばれ、りっぱな松林になると、他の木々が芽を出す。「なぜ?」50年たった夏。松林は枯れ……それから……やがて……200年、森は、何回も形を変えて広葉樹林になったのです。

 可愛い動物たちの姿とともに語られる森の物語。200年が語られたとき、「森はだれがつくったのか」私たちは理解するのです。素晴らしい自然の営みと生命の不思議。ひとりでも多くのこどもに届けたい。たくさんの知識が詰まった豊かなこころの絵本です。

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