りびいさんのレビュー一覧
投稿者:りびい
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紙の本ゾマーさんのこと
2004/10/20 14:24
ラスト数行の衝撃
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『香水』の方を先に読みました。そしてパトリック・ジュースキントなる人の上手い文章に舌を巻きました。彼の作品をもっと読みたい。そして見つけたのがこの『ゾマーさんのこと』。
『香水』に比べて地味なストーリーですね。そもそもゾマーさんて結局なんなの? 読み進んでもなんだか良く分からないまま後半へ突入。前作に比べるとおもしろくないのかしら? いえいえそんなはずは無い。だって読書家の知人が紹介してくれた本だもの…
はたして、ラスト数行の衝撃たるや。この数行に至るためにこの物語はあったんだ。この衝撃のために前半が地味だったんだ。きっと計算し尽くされていたに違いありません。
ストーリーはまったく違うけれど、何故か夏目漱石の『こころ』を読んだときの衝撃に似たものを感じました。鈍く重く何日も何日も心の中に残り続ける物語です。
2004/06/30 17:03
いろいろあった人のための癒しと再生の絵本
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この絵本がなぜもっと評判にならないのか不思議でならないのです。いろいろあった人、打ちひしがれている人、この絵本を必要としている人が世の中にはきっとたくさんいると思います。
ガラクタの部品を組み合わせたようにも見える主人公のぼくは、ボロボロになりかけている心の象徴にも思えます。そのぼくが、てこてこズトズト歩く。元気なバッタに会い、情けないのはぼくだけだと嘆く。じっとしたままの石ころに会い、すこし休んでいけと声をかけられ慰められる。沢山の生き物に出会ううち、いろいろあってもあるきつづけようと主人公のぼくは思うようになります。
途中で出てくるバッタは『とべバッタ』のバッタでしょうか? だとすれば、君は勇気を出して幸せを掴んだね。だけどぼくはバッタ君、きみみたいに勇気が出せないよ。そういうことでしょうか?
もしかしたら石ころやヤギもいままでの作品の登場人物かな? データベースを読んで、コラージュはいままでの作品を切り取って作られたのだと知りました。絵も作者の歴史を物語っているのですね。
力強いコラージュのタッチと飾り気のない言葉、そこには苦しむ者を包み込むシンプルな暖かさがあふれています。絵も文も抽象的なので子ども受けするかどうかはわかりません。けれどもこの絵本を必要としている人は子どもから大人まで世代を超えて沢山いると思います。
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