メノイさんのレビュー一覧
投稿者:メノイ
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紙の本幸福不感症
2004/10/26 18:00
今自分が不幸だと思う日本人へ。
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衣食住足りているのに詐欺や幼児殺しを行ないマスコミや企業から健康や物品に関する不安感を煽りたてられる(これを経済用語的には「需要の開拓」というらしい)日本人。私達はここで少し冷静になって、幸福とは一体どういう状況のことなのか、不幸とは何なのかを考える必要がある。狭い日本社会の尺度以外の、様々な世界の尺度を垣間見て視野がひろがる楽しい本だ。
紙の本神の汚れた手 上
2004/10/18 14:53
考えこませつつも読後感も良い稀にみる傑作
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キリスト教徒あるいは日本人の書いた堕胎に関する本と聞いただけで、
説教臭く正義感に満ちた鼻持ちならない本を想像させるが、
この本はそれを見事に裏切る。
まず主人公の性格が素晴らしい。面倒くさがりで自己欺瞞に陥らない、
自分の行為の善悪を心得た実務家という人間だ。
これを医師として配置したので、極めて自然に物語が進行する。
日本人は、とかく医療従事者も自分達一般人と同じく面倒なことが嫌いで
他人の事など仕事でもなければ関わりたくないと考える極普通の人間である
ということを、計算ずくで無理やり無視してしまう傾向があり、うんざりする。
ドラマ等に出てくる三流役者演ずる「熱血医師・看護婦」がいい例だ。
これは他人に迷惑をかける場合に、
迷惑と思われていると考えながら迷惑かけるよりも、
「この人は好きでやってくれている(のだから自分は迷惑をかけていない)」と
思い込んで(実際に)迷惑をかけたほうが、気分的に楽だからなのか。
しかしそれこそ欺瞞だ。
人間は、お互いに非常に迷惑をかけながら生きている。
そのことをしっかり認識しつつ、
そして自然にお互いをいたわりつつ生きるのが大切なことだ。
これは胎児とその母でも成立する話だが、この本はそこもしっかり書き表している点で、日本の医療小説としても素晴らしい。
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