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有沢さんのレビュー一覧

投稿者:有沢

3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本詩人たちの旅

2005/01/25 22:14

緻密に編まれた物語

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本はデイルマーク王国史という4部作のうちの1作目です。表題から想像されるような重々しさはなく、訳文もひじょうに平易で読みやすいです。主人公はモリルという夢見がちなところのある少年です。年の頃はだいたい小学校高学年あたりですね。彼の一家は音楽を演奏し、歌を歌って派手な馬車で旅公演を続ける一座で、今は政治情勢の厳しい南部から北部に向かって公演を続けながら旅をしています。去年そうしたように、です。そうして、今年もまた去年そうしたように南部への客人を途中で拾うことになっていました。
今年の客人は、姉と同じ年頃の少年、キアランでした。無愛想で口が悪く、偉そうな、ちょっとむかつく奴です。今年はあまり楽しい道中にならなさそうでしたが、まだそれは彼にとっては日常のうちでした。しかし、この客人を乗せたことで、北部へ着くのを待たず、モリルとその家族は大変な運命の変転に見舞われることになるのです。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズというと、どうしてもびっくり箱のような驚きの展開のイメージが強かったのですが、今回の作品にはそういう印象はありません。視点も主人公から離れることはなく、緻密に編まれた物語は着実に展開していきます。まだ1作目なので確たることは言えないのですが、4作目を読み終わったときにあらわれてくるかもしれない、壮大な物語に期待してみたいと思います。

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紙の本騎士の息子 上

2005/01/10 19:57

悲劇の匂いに引きずられる

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

すでに大人になった(と思われる)主人公が、辛い過去と向き合うために自分の過去をつづる、といった形で始まるこの物語は、その時点ですでに悲劇の匂いがします。王家に引き渡される以前の記憶を持たない主人公は、物語開始時点では、名前を持ちません。あったのかもしれないのですが、本人は知りません。そうして庶子(フィッツ)とか坊やとか呼ばれ続けるのです。その状態がなんと下巻の途中まで続くのですよ。それがなんとも落ち着かない感じがして、気にかかります。
一方、彼の父親は主人公の存在という醜聞ゆえに継承権を捨て、一度も顔をあわせぬまま地方の領主として遠くに行ってしまいます。残された主人公は父母両方の記憶を持たぬまま、厩舎頭に動物のように世話をされ続け、子犬を仲間として城にいながらいないものとして生活するようになります。そして、やがては、まあ色々とあって非常に偏った教育を受けるようになるわけです。そうして、彼の眼を通して六公国に起こる危機が徐々に描かれるのです。彼自身の持つ力の謎、海に面する街を襲う赤い船団からの奇妙な通告『金を支払わなければ人質を帰す』、そして返された人質に起こった出来事、さらには彼自身をも巻き込んだ陰謀——。
正直言って、下巻を読み終えた今でも先が気になります。それは、思わせぶりに配された主人公の現在の状況のせいかもしれません。不安のいくらかが拭われたはずの主人公の行く手に広がる不幸の影がとても気にかかるのです。正直言って踊らされていますね。面白かったです。

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砂漠の民の価値観を知る

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アラビア文学の教授である著者が、砂漠の遊牧民出身の作家であるアル・コーニーの作品を通して、砂漠の遊牧民たちの世界について述べた本。
文字文化と縁遠い生活をしている砂漠の遊牧民出身の作家であるアル・コーニーは、その存在自体が特異なものであるが、彼の描く、描き続ける砂漠の遊牧民の世界こそは(著者によれば)他に類を見ないものである。それは、外からの取材によるものではない、内側から見た彼らの世界である。この本ではアル・コーニーの作品を通して描かれた、彼らの側から見た風土、宗教、生活、価値観について述べられている。これらは、私たち日本人の持つそれとは恐ろしいほどに違っている。ほとんど正反対といっていいほどに違っているのだ。
とくに印象に残ったのが、彼らの自由に対する感じ方や、誇りへのこだわりや、過去や未来に対する感覚である。宗教観にも独特のものがあり、確かにイスラム教ではあるのだが、私たちが一般的にイメージするそれとは様相を異にする。コーニーという作家がイスラム教以前の伝統の復興を志向しているというのも考慮に入れるべきではあるが、やはり環境による宗教観の違いが大きいのだろう。実に興味深い本であり、埋もれさせるには惜しいと感じる。
なお、イブラヒーム・アル・コーニーの作品の和訳には「ティブル」(国際言語文化振興財団刊)があるようである。機会があれば読んでみたい。

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