かもめさんのレビュー一覧
投稿者:かもめ
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紙の本緑色の異邦人
2004/06/03 03:15
著者コメント
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この「緑色の異邦人」は、最近になって、少しずつ出始めているようだ。何故だろう。理由はどうあれ、書き手としては嬉しい。短い読み物が十編収録されている。内容が類似したのが2、3ある。これは視点を変えながらの連作。この中の「春蘭」で、北日本文学賞の選奨をいただいた。選者が井上靖先生だった。選奨受賞よりも、井上先生に読んでいただけたことに至福を感じた。著者は「日射病」「水商売」が気に入っている。異論はあるかも知れないが、なぜかこの二つの作品には愛着がある。「天国への土産」は収録するべきじゃなかったかも知れない。読み返してみると、未熟かな、と思う。けれど、出したものは仕方がない。あとはもう、読んでくださった人々の判断に委ねるしかない。暇なおりにでもこの本に触れてもらい、ほんの少しでも、愉しんでもらえれば、と願って止まない。なにしろ無名である。応募をし続け、活動の場はもっぱら、同人誌となっている。近年、励みになることがあった。年に二回発刊する同人誌だが、五回連続、文学界の同人誌批評に取り上げられた。取り上げられたところで何ら日常に変化はないけれど、無名の書き手はこんなことにさえ、転げ回りたくなるほどに嬉しい。だが、それよりももっと嬉しいことは、一人でも多くの読者に恵まれることである。そう願いつつ、今日もまた、升目を埋める。
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