玉川 徹さんのレビュー一覧
投稿者:玉川 徹
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紙の本税金返せ!
2004/06/28 15:39
著者コメント
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官僚の取材を始めて以来、頭を掠める疑問がありました。なぜ官僚社会は変わらないのだろう。これだけ繰り返しメディアで厳しい批判に曝されながら、いっこうに変わらないのはなぜなのだろうと。
結局は、国民が外圧になれなかったから、官僚たちも変わらなかったのです。では、それはなぜなのでしょうか。
私は、日本人がその事実を、受け入れてきたからだと思っています。もちろん、一過性の怒りはあったのでしょうが、現状を変えるべく行動を起こす者が圧倒的に少ない。大半の人は喉下をすぎれば忘れてしまうのです。
「当たり前のこと」については疑わない、自分で考えないというのが日本人の特質です。官僚が悪く、利己的なのも当たり前、それは変えられないと思い込んでいます。その思い込みこそが、悪しき官僚社会を守ってきた元凶ではないでしょうか。
私は、テレビの世界に入って一五年になります。今までに、何人もの官僚たちとカメラを前にしてやりあって来ました。テーマは違えども、国民の一般感覚からすれば、どの問題も腹立たしいことばかり、官僚たちの巧妙な仕掛けを暴くための戦いでした。その過程で、いつからか、私は疑い深くなりました。多くの日本人と同じく、思考停止していたのではないかと思うようになったのです。
ただ与えられた仕事をこなして、会社でいい評価を得ることが最良の人生なのだろうか。会社はいつまでも安泰なのか。もし会社がなくなったとき、私は独りで生きていけるだろうか。これからも、この国で「普通に」生きていていいのだろうか……。
私は何かを始めなければいけないと考えました。そして、『税金返せ!』を書くことを決意しました。この本によって何かが変わるのか、今の私にはわかりません。しかし、どんなに小さな石でも、池に落とせば波紋が広がるように、私の人生にも変化が起きる気がしています。本書を読んでいただいた皆様にも、変化が起きるかもしれません。たとえ波は小さくても、集まってシンクロすればやがて大きな波になるかもしれない、そんな変化が起きたとしたら……。そう願わずにはいられません。
本書には、嘘をつき、誤魔化し、やがて論理破綻に至る官僚たちの姿が収められています。それらはみな、彼らと膝突合せ、口角泡を飛ばし、ぎりぎりまで追い込んだ上で現れた彼らの真実です。テレビでは伝え切れなかった全てを、本書で明らかにできればと思います。読み進みながら、立腹し、哀しみ、やがて思わずニヤッとしていただけたら幸いです。
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