kajie さんのレビュー一覧
投稿者:kajie
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紙の本ボードゲーム天国 01
2003/02/07 12:32
「ボードゲーム」を“マニア”の手から解き放て!
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ボードゲームと聞くと「子供のおもちゃ」か「マニアックな遊び」と思う人もいるかもしれない。しかしここ最近では、誰でも参加できて時間もかからず、気軽に遊べるボードゲームが、大人のゲーム好きの間でじわじわと市民権を獲得している。
ブームを作ったのは、日本でもファンを急拡大している『Catan』であろう。(→公式サイト)本作は1995年にドイツで誕生し、数あるボードゲームの大賞を総なめにした人気作だ。日本で言うところの『UNO』や『人生ゲーム』に匹敵するほどの知名度といえよう。昨春にゲーム会社のカプコンが日本版を発売したことで、日本でも一気に知名度が高まり、いまや全国大会を開催すると一堂に数百人を集めるほどの人気ぶりとなっているのだ。筆者もこの『Catan』にハマり、会社の同僚や友人たちを集めては、ゲーム大会を開いているほど。
これらに味を占めた「ゲーム好き」たちは、他にも面白いボードゲームがないか、探し回るようになる(私もそうだった)。ただ、残念ながら、日本では海外に比べてボードゲームの市場がイマイチ弱い。「東急ハンズ」などに行けば『モノポリー』くらいは手に入るけど、その他の魅力的な作品を購入するとなると、海外ゲームを扱う専門店か、ネット通販で買うくらいしか方法がなかったのだ。また、それらの情報も少なく、そもそもどんなゲームが人気で面白いのかすら、よくわからない。
そんなところに現れたのが、『ボードゲーム天国01』だった。なんと100タイトル以上のゲームを、詳細な解説文とともに紹介している。カラフルで美しい盤面やコマなどの写真を見ているだけでも飽きず、興味をそそられる。
本書で紹介しているのは、ボードゲームの中でもルールがわかりやすく、プレイヤー間の駆け引きとサイコロなどの運が重要となるタイプのものが多い。(その手の作品の多くがドイツで誕生していることから一般的には「ドイツゲーム」と呼ばれる)。役柄を決めて長期間かけ遊ぶ「テーブルトークRPG」や、カードを数多く収集することを要求される「トレーディングカード」タイプのゲームと異なり、初心者でも上級者でも、気軽に参加し、遊ぶことができる。そのため、決して「ゲームオタク」じゃない女性や若者にもオススメできるといえよう。
それらのボードゲームの楽しさを伝えるには、いろいろな工夫が必要だ。本書ではその試みとして例えば「オススメ・ゲーム実況中継」というページを設け、プレイ中の会話の模様を実際に掲載している。テレビゲームの影響で「ゲーム=会話もなく独りで遊ぶ」印象があるが、この和気あいあいとしたやりとりの雰囲気をみていると、「あ、ゲームってこうやって遊んでたよな」と思う。作り手自身がみなボードゲーム好きで、その魅力を幅広く知ってもらおうという熱意にあふれた本書は、とにかく賞賛に値する。
他にも各種大会のリポート、ボードゲームサークルの紹介、インタビューなどの読み物もあって、大変にボリュームのある一冊。ぜひこちらを読んで早速なにか買いに走るなり、ゲームの布教活動に励むなりしてもらいたい。
さらに、本書の発売元である雄山閣では、本書の発行にとどまらず、今後はボードゲーム自体の流通にも携わり、書店などでもっと気軽にゲームが購入できるような販路を今後開拓していくという。これは専門店などにいけない人たちにとっては大変に嬉しいことだ。本書の定期刊行化とあわせて、ぜひ頑張ってもらいたい。
余談だが、個人的には、『Catan』以外では、高層ビル建設ゲーム『マンハッタン』や消えた犯人を追う『スコットランドヤード』、カードゲームとしりとりが融合した『ワードバスケット』あたりが好きなのだが……誰か一緒に遊びませんか?
(kajie/知ったかぶり週報)
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