I.N.さんのレビュー一覧
投稿者:I.N.
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2005/06/04 06:52
天・地・人
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KAGAYA氏の気の毒なところは、「シメールやラッセンに似ている」と言われてしまう点である。実際、ジグソーパズル屋でも絵画展でも、そしてこの本が置かれている本屋でも、彼らの隣に並んでいる。一瞥して「同じ系統だね」と片付けられてしまうのも無理からぬところである。
しかし、彼らの絵とKAGAYA氏の絵には、大きな違いがある。それは、描かれた星の並びや明るさ、色が実際の星に忠実であること・・・おっと、これは絵画展の販売員もセールスポイントのつもりで必ず言う謳い文句だけど、そんなものは、実は小さな違い。何より大きな違いは、どの絵にも必ず、人が描かれていること。人は自然と対峙するものでも干渉するものでもなく、共にあるものとして描かれている。それがどういう効果を生むかと言えば、KAGAYA作品を愛するすべての人が言うのだが、そこに描かれた人々が語りかけてきたり、自分がその人々になってしまったりして、描かれた物語がその続きへ動き出し、自分もその世界へ飛び込んでいけるのだ。
星々が、背景でも前景でもなく、一緒に描かれた風物と並列に描かれている「スターリーテイルズ」。それは、かつて人々が、そこに地上の営みと同じものを見いだして紡ぎ上げた星座の世界。そして、手の届かないものでも遠巻きに眺めるものでもなく、誰もがそこへ駆けていって、自分なりの物語をさらに紡いでいける世界である。
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