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図書守さんのレビュー一覧

投稿者:図書守

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

これこそが、人の歴史である。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

誠にすごい歴史書である。

 著者はカナダ人の歴史家で、英語圏では、壮大な歴史書を書く、歴史書の大家として知られている。
 既刊している「世界史」「西洋の台頭」と本書を合わせて三部作ということになるらしい。
(「西洋の台頭」だけ、日本では未刊行。)
 ちなみに本書は、2002年に刀水書房から出版されたものの文庫版である。

 本書では、世界史の一部や、とある国、地方、とある時代、期間を扱っているのでなく、
世界史すべての時代をまんべんなく取り扱っており、逆に細かい世界史に対する知識がほとんどなくとも
概ねの流れだけ理解していれば、読める仕掛けになっている。
 
 世界史とは、人類の歴史である。本書はその人類の歴史を戦争という側面から歴史全体を敷衍する形で描ききったものである。
 人類の歴史が勢力争いとそれに付随する殺戮の繰り返し、まさに、戦争の歴史だったことは、
人間であるかぎり、いかなる歴史教育を逆に、”受けなかった”ものでも、なにがしかのドラマ、漫画、
映画、人の話などの媒体を通して理解しているはずである。
 つまり、性悪説に立って歴史書を書かなくても、これこそが、人間の今まで行ってきた歴史だと言い切ってもいいわけである。
 人間が、いかに、効率的に殺戮を行うため、また、相手を殺傷するためにその技術、そのシステムを構築し発達させ、完成させてきたか、著者の信じられないほど、巨大な知識によって再現され描かれていくさまは、
読んでいる最中こそ驚きや知的好奇心を感じるが、一度本を置けば、うすらどころか、ものすごい恐怖心さえ感じる。
 
 歴史書は、私に言わせると、右とか、左とかいうわけかたそのものが、
グローバル化の時代もう古いのかもしれないが、
若干右よりの書き手に書かせるほうが、読み物としては、面白い。
左によると、理想と反省が描かれることになるのだが、右寄りの書き手だと、まさに
パワーポリティックス、実行力、理想でない功利から作為による具体的な行為がその狙い通り描かれることになり
一種のノワールものの小説に近くなる気がする。それを面白いと感じる私ですら、
もう狂っているのかもしれない。本書を読む限りやはり相殺しあってきた私達ひとはどこかでいつから、間違ったと
いうより、種として、存在そのものがすでに狂っているのかもしれない

 歴オタや、ミリオタの方には、ど真ん中。
いや、歴史に少しでも何がしかの形で携わる方なら、
絶対に読まなければ、いけない必読の本だろう。

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紙の本

紙の本11/22/63 上

2014/01/31 23:46

キング、エンタメ界に完全に戻る。

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は、2014年の「このミス」の海外部門堂々の一位である。
私は、もう隠しもしないが、割りとコアなキングファンである。
 超多作家ゆえ、さすがにコンプリこそできていないが、年代と読んだキングの作品が
思い出としてかなりリンケージしているぐらい。("本読みさん"の悲しい性である)
 
 一刻、純文学に舵を切った感のあったキングであるが、アンダー・ドーム(ドラマ化)
又、昨年、一昨年は文春文庫からは、二分冊された短篇集(相変わらず、中編集になっていたが)
「1922」,「ビッグ・ドライバー」が刊行され
テクニックとして純文学路線を継承しつつもとの完全エンタメ系に戻ってきた感がある、

 で、本書、このタイトルにもなっている日にちを見れば、予想がつくとおりで
ケネディア暗殺を絡めた、タイム・トラヴェルものである。
 昔は、スーパーなどで売られるダイム・コミックのホラーを
純文学のテクニックで小説として描きなおし男として知られていただけに、
タイムトラベルと人物の心情を掘り下げた過去を振り返る哀愁ただよう作品になっていることも
うけあいである。
 相変わらず、切った張っただけでなく、この辺を一人称形式できっちり
暴走しない範囲で収めるあたりうまい作家であると思う。
 又、本当は、この泣きの要素のほうが、読者には、フックとなりうるのではないか。
そんな思いさえした。
 「アンダー・ドーム」は若干スーパーナチュラルの要素が強いため、SFを受け付けない
読者にはすこしとっつきにくかった面もあるかと思う。
「アンダー・ドーム」は、80年代後期よく比較されたモダンホラー御三家、
キング、クーンツ、マキャモンのうちの、
マキャモンの(今何を書いているのだ?残りの二人)「スティンガー」のキング版の焼き直しと言える、
というより、キング自身の中編「霧」のセルフ・リメイク!?。
 本書は、SFとは言え読者層は広がるのではないか?。
 
 翻訳物の一番のエンタメ作品だとは思うが、、
一番のネックは、その作家としてのテク故の長さと作家自身の名前のデカさか、、。
本当は、キングのピュア・ファンとしては、
初期の文庫作品こそキングのコアが出ているのでそちらから読んでいただきたいのだが、
それは、望外の望みであろう。

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紙の本

紙の本蜘蛛の巣 上

2007/07/23 17:54

中世でなく、古代アイルランドを舞台にしたミステリです

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

海外エンターが好きなわたしですが、いつも翻訳系の文庫はどんなのが出たのか散歩中匂いを確かめる犬のようにチェックしています。(くんくん)
 これも、そんな網にかかった一冊。
中世アイルランドを舞台にした歴史ミステリか、、。
と思って手にして、読み出すと、なんと、中世じゃなくて、古代!!でした。

 7世紀のアイルランド南部を舞台にしたミステリです。
 部族の長であるエベルが殺されました。
現場にナイフを持ったままの青年がそのまま捕らえられ
犯人と目されるのですが、それを王の妹でありながら、
修道女で裁判官であり弁護士である(法務官ですね)フィデルマが
事件解決を目指します。

 一応、キリスト教はかなり伝播していて
価値観や風俗的に、中世を思い浮かべてもそれほど問題はないのですが、
やっぱりどこかちょっと違います。
 そんな風に感じるのは、きちっと当時の風俗、価値観、生活が、
描かれているからです。
 それもそのはず、この著者のピーター・トレメインは、この古代アイルランド
研究の学者さんで、ノンフィクションも多数書いておられるとか、、、。
(どうりでしっかり描かれているはずです)
この古代アイルランドで施行されていた、法というものも、
きちっと、書かれていて、
 勉強になるというより、
(あまり勉強する機会もない気がしますが)
そこで生活しているかのような、読んでいて気がしました。
兎に角、文中の注釈の量がはんぱじゃありません。
本書の読みどころの一つは、この古代アイルランドの生活を
垣間見ることですね。

 フィデルマは、いまでいうところの高学歴のキャリアウーマンですね。
女性判事や、女性弁護士が活躍するミステリみたいな感じで
仕事に対する誇りとプライドを感じます。
 仕事に対しては、兎に角きちっとしていて、パトリシア・コーンウェルの作品みたいです。
ただ、これで、王の妹という生まれも付いてきて、
あまりにも完全無欠過ぎて、ちょっと、、、でしたが、
これで、生まれは、庶民の出にして欲しかったなぁ、、と。

 本書、英語圏では、大ヒットシリーズだとかで、
なんか、修道士カドフェルみたいな感じですかね、、。
というか、当時は欧州では、宗教家以外は、一部の支配者階級以外
文盲だったのです。
 言葉が書けるイコール、宗教関係者みたいなかんじでした。
(このカドフェルのシリーズも読みたいなぁと思いつつ、
 ペンディングになっているシリーズの一つです)
このシリーズどんどん出して欲しいのだけれど、
如何せん、昨今のノンストップ系サイコパス、ソシオパス系のミステリと比べると、ちょっと地味かなぁ、、と。
カドフェルも、日本じゃ地味な扱いなんですよね、、。

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紙の本

紙の本マンガの深読み、大人読み

2005/08/25 19:54

此処最近の夏目さんの文章集

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は、夏目漱石の実の孫であり、
漫画評論家の、夏目房ノ介さんの今まで発表された文章集です。
大きく3つに分けることが出来ます。
最初の1/3では、古今の大ヒット漫画の評論集。
この編では、「ドラゴン・ボール」の
強さのインフレになるのだけれど、リセットされている
という、解釈と、
浦沢直樹が、意外に当初は、大友チルドレンの一人だったことなど、
が、面白いです。
真ん中の1/3は、「少年マガジン」というか、講談社を支えた
(支えたどころか、大きく発展させた)
「巨人の星」と、「明日のジョー」
に関する、夏目さんの評論と、関係者へのインタビュー
インタビューは、巨人の星と明日のジョーだけを、
載せた漫画雑誌から、起こしたり再編集させたものが、
主です。
当時の熱い熱気が感じられます。
特に、梶原一騎の奥さんのインタビューが良かったです。
梶原さんが、意外にも若いころは、細い文学青年だったことなど、
又、ヒットする漫画は、そうなのかも、しれませんが、
企画の段階から、編集者と原作者で、もうツーカーで、
編集者が、こうだと、いうと、
もう、直ぐに梶原さんが、それなら、これだろうと、
あっという間に、決まったみたいです。
最後の1/3は、現在の世界にはばたく日本の漫画事情と、
世界の漫画事情。
やはり、子供に甘く、子育てに無防備な、東洋と西洋の
価値観の違いと、
東南アジアで、もう出回っている、5バーツ漫画という、
廉価版の漫画が、大変興味ありました。
日本でも、赤本と、言われる、屋台売りの廉価版の印刷の本
や、貸し本で、広まっていったのですが、
類似の現象かもしれません。
これ一冊で、とりあえず、漫画の現在の位置取りをフォロー出来ます。

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