わた雲さんさんのレビュー一覧
投稿者:わた雲さん
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紙の本血にまつわる病から生まれたメトセトラ 薬害エイズ訴訟和解から十年、僕らはこんなカンジで生きてます
2006/03/09 11:50
重く深い、思いが描かれた本です
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
HIVがテーマということで難しく病気に関することばかり書かれていると思いましたが、詩やエッセイなども満遍なくちりばめつつ、重要なテーマに触れており一気に読み終えました。とても読みやすかったと思います。
家族の愛情や背負ってきた重荷、悲しみ・・・どう表現してよいか分かりませんが、とても重く、でもなにかを大切なことを気付かせてもくれるようでもありました。 特に「親父が泣いた日」という詩は、HVI感染を宣告された著者が帰宅したその後の家族の風景がリアルに描かれており、読み終えて胸が締め付けられるようでした。本書に書かれている数々の詩はとても読みやすく、時にユーモアをきかせた笑いも織り込み、また読む者の心根を計り知れない悲しみが貫くようなものもあります。言葉を飾ることなくありのまま描写されていてとてもリアリティにあふれていました。
病気に関する知識は知らない事で心を傷つけるだけではなく、迷惑をかけることにもなります。この病気に関しては実際に命にも関わる危険性もあるのです。
この作者の方の様々な想いが、悲しい中にも時にユーモアたっぷりに、そして優しく温かく、儚く描かれたこの本は様々な意味でお勧めの本です。
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