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投稿者:ガブ
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紙の本「女人禁制」Q&A
2006/03/29 09:04
「女人禁制」Q&A
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
女人禁制は、歴史的には大変意古い制度であろう。しかも問題なのは、その古い制度がいまも「伝統文化」といった衣装をもって健在であることだ。本書は、そうした女人禁制に異議を唱える市民28人が執筆者となって編集されている。編著者の源淳子さんは、宗教にある女性差別思想研究者の草分的存在である。執筆者は、その源さんを中心に女人禁制とはなにかを「大峰山」の女人禁制の開放を求める運動の中で論議してきたという。それだけにこれまでの民俗学などで取り扱ってきた女人禁制の研究書とは全く違った視点や構造をもった本になっている。
これまでこうしたテーマは、専門化した分野であり、研究者を対象としたものがほとんどである。また、「伝統文化」ということで権威的に紹介したものが多い。しかし、本書のいいところは、そうした専門化や価値観を抑圧的なものとして批判する姿勢をもって編集されていることだろう。ジェンダーからの読み取りもそうである。その結果、女人禁制が「伝統文化」というなかでのうのうと存在することを批判すると同時に、それがいまも私たちの意識や身振りまでに影響していることを明らかにしている。すくなくとも本書を読めば、女人禁制の思想的問題をはじめ現代的課題がすべて見えてくるといっていいだろう。それにしても「大峰山」がなぜいまもって禁制なのか。それを護持する「仏教」とはなにかと改めて思う。仏教が差別の思想を”護持”している不可解さである。
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