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エムさんのレビュー一覧

投稿者:エム

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複数の視点から

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「十字軍」というと、世界史の教科書でもなじみ深いお題なので、初耳という人は少ないはず。でも、意外と具体的なイメージは乏しいのではないでしょうか。例えば、遠征の回数。「関が原の戦い」のような1回限りの大会戦を思い描いていませんか? 実は2世紀くらいかけて何回か召集された軍事行動の総称なのです。しかも具体的に何回だったのかは研究者によって数え方がいろいろで、いまだ定説として合意はみられていません。目的地もエルサレムとは限らず、エジプトを目指したりコンスタンティノープルに攻め込んだり。相手もイスラム教徒オンリーかと思いきや同じヨーロッパ人を「異端」と断罪して遠征軍を送ったり・・・。つまり、十字軍とは、「聖地回復を旗印とした対イスラム教徒の戦い」という教科書の記述から想像される枠組みから軽々と抜け出てしまうような、時間的にも空間的にも長く広く深いインパクトを与えた「運動」であったのです。ただでさえ「聖戦」という概念に縁遠い現代日本では捉えにくい対象といえるでしょう。(ヨーロッパ中世なんて受験に関係ないし・・・いや、これは別の話ですね・・・)
そんな十字軍の刺激に満ちた多様な側面を、その時代やほぼ同時代の人物の言葉で語ったのがこの本。「運動」を起こしたヨーロッパのキリスト教徒のみならず、ビザンツ帝国の人々や、十字軍と敵対したイスラム教徒の視点も取り入れられているのが、汗牛充棟ひきもきらないこのテーマを扱った本の中でも異色な点でしょう。
祖国を蹂躙された怒り、征服者への怨嗟、戦時下の友情、そして純粋な信仰心の表れ・・・。現場を体験した人々の証言は、ふと時間の隔たりや文化の違いを忘れさせるような生々しさを備えていて、同時代性さえ感じます。今もなお、エルサレムを含めて世界各地で続く宗教対立による争いの陰で、同じような声をあげている人がどれだけいるのでしょうか・・・。年代記や書簡、日記などの語りに、広く現代にまで想いを及ばせるだけのパワーを感じます。この「現代に通じている感覚」は優れた歴史書には不可欠の要素であり、歴史を学ぶ大切さも面白さもこの感覚にあるのではないでしょうか。(でも受験に関係ないし・・・いやいや、だから別の話でしたね・・・)

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